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エノヤンみたいな筋肉バカに体当たりされたら、タイチ折れちゃうよ!


タイチ逃げろ!


棒立ちになったタイチにエノヤンが勢い良くぶつかる!


うわぁあ!!


目を覆った瞬間、砂利道に体が倒れる音がした。



タイチ!



……あれ? 


タイチ、立ってる。


道に突っ伏していたのは、エノヤンだった。


突進してきたエノヤンを、タイチはスッと避けただけみたいだけど……。


砂まみれのエノヤンが、何が起こったのか分からないって顔をしていた。


そ、そうだよな、いつも必ず倒すもんな。




タイチが立ったまま、倒れたエノヤンを見下ろす。


「俺、本当に遊んでる暇ないんだ。帰る」


その言葉で、自分の状況が分かったエノヤンが、更にヒートアップしてしまった。


勢い良く立ち上がったエノヤンが、もう何言ってんだか分からない言葉を発しながら、


タイチに向かって走り始めた。



舌打ちしたタイチが、土手を走り始める。


俺も二人を追いかける!


エノヤンを追い抜かした!


……え?


あ、そうか。


エノヤン足遅かったんだっけ。


筋肉が重いからかな。



自然とタイチの後を追う形になる。


タイチ結構足速いな。


必死に走って隣に並ぶ。


「タイチ、足速い!」


「そう? 普通じゃない? それよりあの馬鹿どうすればいい?」


「分かんないけど、振り切ろう!」


後ろから追いかけてくるエノヤンを、走ったまま見ながら車道に出た。



その時、クラクションが横からけたたましく鳴った。


急ブレーキのきしんだ音がする。


とっさに、立ちすくんだタイチを突き飛ばした。



体の側面に衝撃が走って、道路に叩きつけられる。


車道の端で、タイチが尻餅を付いているのが見えた。



続く