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「騙すつもりじゃなかったんだけど」


タイチが済まなそうな顔でオレを見る。


すっかり着替えたタイチには、もうあの子の面影は残ってない。


声も低くなっている。



目の前に、唐揚とかサラダとか稲荷寿司とかが並んで。


さっきまでおしろいを塗っていたおっちゃん達が、ビール片手に笑ってる。


タイチは皿におにぎりを乗せたまま、食べもせずに座っていた。


オレも、いつもだったら食べてるけど、さすがに腹も空かない。



「何か言い出しづらくって……」


そりゃそうだよな。


目の前で自分の事「好き」とか言われたら、言い出せないよな。


しかも、クラスメートに。


しかも、男に。


「ううん、こっちこそごめん」


「……」


「……」



大きな溜息が出てしまいそうになるのを、二本目のサイダーで飲み込む。


オレって、つくづくバカだなぁ。


この何日か具合悪かったのも、アホみたいだ。


……本当にホモなのかな、オレ。



横に置いたカメラを見る。


何も知らないで写真を写して、そのまま帰れば良かったんだ。


「写真現像したら渡すよ」


そう言った瞬間、タイチがハッと顔を上げた。



「お願いがあるんだけど」


タイチが真剣な表情でオレを見た。



続く