17
入り口からざわめきが聞こえてくる。
開場したテント。
入ってきた客が席に着く音。
ビールの缶を開ける音。
楽しそうな笑い声。
全部、遠い場所で鳴ってる音楽みたいに聞こえる。
一番前の席に座って、開演を待つ。
転校生……タイチが用意してくれたみたいで、座ってて良いと言ってくれた。
もうすぐあの子に会える。
そう思うだけで緊張して、顔が赤くなって手のひらがベトベトする。
ハンカチ持ってくれば良かったなぁ。
汗臭いの嫌いかな。
落ち着こうとして、膝の上のカメラをそっと撫でる。
一度家に帰って持ってきたのだ。
今のオレには、ちょっと大きなカメラ。
オレの宝物。
このカメラで、あの子の写真を撮らせてもらおう。
汗をかいていると、隣に座ったおばさんがお茶をくれた。
お礼を言うと、にっこりと笑って、
「楽しみましょうね」
と言ってくれた。
お茶が冷たくてうめぇ。
明るかった客席の電気が暗くなって、舞台に青い照明が入り、お囃子が流れた。
始まる!
続く