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寝てしまったトモヤを負ぶって、レイナの家へと歩く。


街灯があまりないので暗いけれど、その分振り堕ちてきそうな星が見える。


星明りの中、二人話す事もなく無言で歩いた。


その無言は苦痛でなく、お互いが傍にいるのが当たり前の、心地良いものだ。


背中ではトモヤがすーすーと寝息を立てている。


足を踏み出すたびに、砂利道が音を立てる。


遠くから波の音が聞こえる。


さっきまでの心のざわつきが嘘のように、今は穏やかな気持ちになって。



トモヤを家に運んで、布団に寝せる。


前よりも重い。


身長も伸びてるだろう。


この位の歳の男は成長が早いなぁ。


明日は一緒に海に行こうか。



「どうして急に帰ってきたの?」


レイナが冷たいお茶を運んできてくれた。


「うん……トモヤが電話くれたんだ」


「トモヤが? 何て?」


「え……と、会いたいって」


忘れていたカイトの顔が浮かび、背中を流れた冷や汗を思い出す。


「ふーん」


「それに、レイナに会いたくなったんだ」


「……ふーん」


顔が少し赤くなる。


照れてる、可愛い。



そっとレイナを引き寄せ、キスをする。


柔らかい唇。


抱き締めた華奢な体から伝わるレイナの体温。


甘い香りが、鼻から体に入ってくる。


離したくない。


「……急に帰ってきたから、ホテルとってないんだ。ここに泊まっても良い?」


耳元で出した声が、上擦って掠れた。


「……しょうがないよね」



トモヤが寝ているのをもう一度確認してから、レイナの頚へ唇をずらす。


レイナの体が、一瞬強張った。



続く