10
車をホテルへと走らせる。
オレンジ色の残像を残しながら、沈んでいく太陽。
次第に輝きを増す星達。
ヘッドライトを点ける。
今日も、海を見つめているだけで終わってしまった。
日に焼けた頬と肩が、ヒリヒリと痛む。
毎日海水に浸すだけのボード。
お前だって、波に乗って走りたいよな。
じゃりじゃりと音を立てながら、ホテルへと進んでいく車。
ヘッドライトに人影が現れる。
あれ、あの足首は……レイナだ。
……足首で見分けられる俺って、やらしくないか?
苦笑しながら、レイナの隣で車を停める。
ちょっとビックリしたみたいだ。
「何だ、あんたなの」
「リョウイチって呼んでよ」
「必要ないでしょ」
「今帰り? 送っていくから乗りなよ」
「結構です」
「警戒してる?」
「してない。知らない人の車には乗るなって家訓だから」
「あー、怖いんだ」
「! 怖くないわよ」
「じゃあ乗ればいいじゃん」
「……乗るわよっ」
するりと助手席に納まるレイナ。
脚も腕もウエストも、全体的に細く締まっている。
野生の小動物みたいだ。
窓に肘を突いて、外を見ている。
シンとしている空気に気付いて、曲をかけた。
続く