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車をホテルへと走らせる。


オレンジ色の残像を残しながら、沈んでいく太陽。


次第に輝きを増す星達。


ヘッドライトを点ける。



今日も、海を見つめているだけで終わってしまった。


日に焼けた頬と肩が、ヒリヒリと痛む。


毎日海水に浸すだけのボード。


お前だって、波に乗って走りたいよな。



じゃりじゃりと音を立てながら、ホテルへと進んでいく車。


ヘッドライトに人影が現れる。


あれ、あの足首は……レイナだ。


……足首で見分けられる俺って、やらしくないか?



苦笑しながら、レイナの隣で車を停める。


ちょっとビックリしたみたいだ。


「何だ、あんたなの」


「リョウイチって呼んでよ」


「必要ないでしょ」


「今帰り? 送っていくから乗りなよ」


「結構です」


「警戒してる?」


「してない。知らない人の車には乗るなって家訓だから」


「あー、怖いんだ」


「! 怖くないわよ」


「じゃあ乗ればいいじゃん」


「……乗るわよっ」



するりと助手席に納まるレイナ。


脚も腕もウエストも、全体的に細く締まっている。


野生の小動物みたいだ。


窓に肘を突いて、外を見ている。



シンとしている空気に気付いて、曲をかけた。



続く