「いい加減に起きてよあんたたち!」


威勢の良い声で叩き起こされる。


……?


……ここ、どこだ……?


……そうか、昨日店で酔っ払って踊って、そのまま寝ちゃったのか。



「店開けらんないでしょ?!」


ぼんやりする頭に響く、でかい声。


「あー、ごめんねー……」


周りには、同じように酔いつぶれたおっちゃん達が、まだ目も覚まさずに寝ている。


「本当に毎晩毎晩……家帰って寝ろっつーの」


声の主を見ると、同い年くらいの女の子だった。


昨日いたっけ?



容赦なく入り口の引き戸が開けられる。


途端に入ってくる日差しと潮の香り。



時計を見ると、もう9時だった。


腹の虫が鳴る。


昨日あんだけ食ったのに、もう腹減ってる。


ホテルの朝食も終わってるよな。


「ここ、何時からだったっけ?」


「11時」


「このままいて、昼飯食いたいんだけど」


「はぁ? 掃除の邪魔! 一回帰って!」


「……わかった。一杯だけ水くれない? 喉渇いちゃって」


「……」



無言で差し出された水を飲みながら、ちゃきちゃき働く声の主を観察する。


まっすぐに切られた前髪。


ひとくくりにされた茶色の髪。


Tシャツに膝までのジーパン、ビーチサンダル。


飾りっ気のない細い体。


掃き掃除、拭き掃除を済ませ、終わると同時に飯の炊き上がる音がする。


すぐに何かを刻む包丁の音が聞こえてくる。


良く働くなぁ。



感心して見ていると、目が合った。


怖い顔して、こっちに向かってくる。


な、なんだ?!



「あんたたち! 本当にもう起きろー!」




続く