Wipe Out(ワイプアウト/サーフィン用語)
ライディング中に、或いはテイクオフ時に、自分の意志ではなくサーフボードから落ちてしまうこと。
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音を立てながら、白い砂利道に車を走らせる。
窓を全開にして、お気に入りの音楽をかける。
ハンドルを握る手が、自然とリズムを取る。
風が車の中を一回転して外へ通り抜ける。
フロントガラスから差し込む日差しが、ペットボトルの透明な陰を作る。
空は澄み切った青で、様々な形の白い雲が通り過ぎていく。
風と音楽を楽しみながら、しばらく車を走らせると、道の奥に光るモノが見えてきた。
海だ!
アクセルを踏み込む。
いつもこの瞬間は、気分が上がる。
ワクワクがたまらない。
ワクワクと同時に沸き起こる不安。
今日こそ、大丈夫だろうか。
駐車場に車を入れて、準備する。
まだ水は冷たいのかな。
車の上からロングボードを降ろす。
ボードが、太陽の光を弾いて光る。
海に向かって歩く。
太陽に照らされた砂が、熱く足の裏を刺す。
段々熱くなってきて、早足になる。
海にはポツポツとサーファーの姿。
波はまあまあか。
太陽の光を跳ね返しながら、波がブレイクする。
テイクオフするサーファー。
腰を落としながらターンして滑る。
スープに流される。
よし、俺も行くぞ。
まだ真夏には程遠いけど、空には眩しい太陽。
光を反射する海が、キラキラと輝く。
思わず目を細める。
白い波に足をつける。
ははっ、冷てぇ。
ロングボードを透明な海へ浮べる。
パドリングとドルフィンスルーを繰り返しながら、ゆっくりと沖へ進む。
鼻に濃い潮の匂いが飛び込んでくる。
微かに起こる緊張に、体が強張り始める。
今日こそ、波に乗るんだ。
続く
注)
・テイクオフ/パドリングの状態から波に乗って立ち上がるテクニック
・スープ/波がブレイクした後に発生する白波=ホワイトウォーター
・パドリング/サーフボードの上に腹ばいになって水泳のクロールのように漕ぐ事
・ドルフィンスルー/サーフボードを沈めて波の下をくぐり抜けるテクニック