42



控え室のモニターに、舞台正面と客席が映る。


客席にたくさんの人が動いている。


開場した。


もうロビーには出られない。


控え室はダンサー達の興奮が渦巻いて、空気が薄くなっている。


緊張で軽く貧血を起こして、何か吐きそう。



水を飲む。


胃の形に冷たさが広がる。


お腹空いてんのかな。


バナナを食べる。


お腹が落ち着いて、気持ちも少し落ち着いた。



暗かったモニターから、明るい照明と音が流れてきた。


一組目のキッズクラスの発表が始まった。


心臓が音を立て始める。


落ち着かない気持ちと、ふわふわする体と、上手くリンク出来ない。



ゆっくりとストレッチをして、体を温める。


雑念を払う為に、ヘッドフォンのボリュームを上げて、音楽に集中する。


イメージトレーニングをする。



音を良く聞いて。


一つ一つの動きを丁寧に。


そうして、音に乗る。


音を体に通す。


ライトの中で光り出すシルエット。


大輝の後姿。


きっと、私の傍で大輝も踊る。



踊り終わったら、私はきっと変わるだろう。


もっともっと、ダンスが好きになる。


もっともっと、音が好きになる。


もっともっと、光を好きになる。


ステージに立つ事が、私の生き方になる。


ワーカホリック、それも良い。



「初級SHINYAクラス、袖にスタンバイしてください」



そっと、目を開ける。


気持ちは落ち着き、頭は冷静になっている。


反比例するように、体の芯が燃えている。



今まで知らなかった私が、目を覚ました。



続く