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夜の自主練にも、メンバーが集まってきた。
繰り返し踊りながら、どんどんダメだしをしていく。
皆ダンスに集中している。
緊張感を漂わせながら必死に踊って。
それでも、本当に楽しそう。
良い顔をしてる。
私もこういう顔してるのかな。
「私、どうしたらいいのか分かんなかったんだよね」
帰りの電車の中で、メンバーの女子が呟く。
「なんかさ、私も踊りたいと思って、でも手上げられなくてさ。
手を上げたのを、凄いと思ったし、羨ましいとも思ったのね。
ゆうなの事は同情はするけど、可哀相とは思わなくて。
でも皆あんたの事批判するし、私感覚おかしいのかと思って。
ホントは昨日も自主練来たかったんだけど……。
今日SHINYAさんがああ言ってくれて、私間違ってなかったんだなぁ、と思って嬉しくてさ。
今日は楽しく練習出来た!
明日も頑張んなきゃ、ね」
嬉しくて、涙が出そうになる。
「うん!」
「あと4日だね、ライブまで」
「うん。……考えると胃が緊張する」
「止めてー! 緊張がうつるじゃん!」
「あははっ……はぁぁあ緊張するーーー!!!」
「明日も目一杯練習しよう!」
「そうしよう! じゃあね」
降りたホームに、冷たい風が吹き抜ける。
その中に、ほんの少しだけ春の匂いがする。
もうすぐ春。
もうすぐ本番。
次のステージが、私を待ってる。
ワクワクが止まらない。
今度は、どんな風景が見えてくるんだろう。
本番まで、あと4日。
続く