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着替えを済ませて、スタジオの中に入る。



何か空気が重いなぁ……。


「どしたの?」


「何かゆうな怪我しちゃったみたいよ?」


「ええっ?! どうして?!」


「分かんないけど、事故っちゃったらしいんだよね」


「事故?」


「バイクでこけたらしいよ」


「ええー! だって、もう本番まで一週間しかないのに?!」


「そうなんだよね。どうするんだろうと思って」


「……うーん」



SHINYAさんが入ってきた。


ちょっとだけ眉間に皺が寄って、険しい顔をしてる。


……ように見える。



「皆もう聞いてるかもしれないけど、ゆうなが怪我しちゃったのね。


大した怪我じゃないって言ってるんだけど、足をやっちゃったから、ライブは無理なんだ。


で、ゆうなのソロパートをどうしようかと考えてて……」


皆黙って話を聞いている。


静まり返ったスタジオ。


「振りから無くそうか、とも思ったんだけど、せっかくだから誰かに踊って欲しい。


誰か踊りたい人?」



踊りたい!


でもゆうなの事を考えると、手を上げられない。


皆同じ思いなのか、誰も手を上げない。


「ゆうなの事は考えるな。可哀相でもなんでもない。


ライブまで自分の身を守る事。それもダンサーの仕事の一つだから」



踊りたい。


でも……やっぱり。


それでも。


「私踊りたいです」


左手を上げた。


皆がビックリして私を見る。


「じゃあ踊って。今から振付する」



コンポから曲が流れる。


鏡の中、SHINYAさんとマンツーマンで振付を覚える。


皆の視線が、鏡越しに突き刺さる。



続く