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昨日綺麗にした部屋で、レッスンに行く準備をする。
カーテンを開けると、綺麗な青空が広がっている。
うーん、気持ち良い!
そうだ!
クローゼットの扉を開ける。
ずっと開けなかった箱を、そっと開ける。
赤いエナメルのスニーカー。
誠吾と別れた雨の日、ショーウィンドーに飾ってあったのを見て、衝動買いしたのだ。
あの時、私を支えてくれるものは、大輝しかいなかった。
大輝が履いて踊っていた、赤いスニーカー。
羽根が生えていた。
同じものではないけれど、これを履いたら、幸せな世界へ飛んで行ける気がして。
そうしてそのまま履かずにいた。
これを買った時は、まさか自分がダンスをするなんて、思ってもいなかった。
今まで仕舞いっ放しで、ごめんね。
お前のデビューが決まったよ。
今日から一緒に練習しようね。
箱から出して、日差しにかざす。
エナメルが光を反射して、笑ったように見えた。
よろしく頼むぜ、相棒!
大切にカバンの中に仕舞って、部屋のドアを開ける。
今日は温かい。
ショーウィンドウ前での練習も、今日は少し楽になるなぁ。
カバンの中のスニーカーを思って、ウキウキしながら、駅までの道を歩く。
もうすぐ、春だなぁ。
そんな暢気な事を思いながら。
続く