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「この曲で踊りまーす。流すので一回聴いて下さい」
コンポから流れてきたのは……知らない曲だった。
ベース音が強くて、アップテンポな曲。
「この曲、聴いたことある人?」
SHINYAさんの問いかけに、20人くらいいる中で、何人かがパラパラと手を上げる。
「……少ないね。ダンサーを仕事にしていきたいなら、もっと音楽をたくさん聴かなきゃだよ。
好みとかは別にして、流行ってるもの、昔のもの、手当たり次第でいいからさ」
考えてみたら、ダンサーが音なしで踊るなんて滅多にない。
まだまだやってない事が多いんだ。
大輝ばっかり聞いてちゃダメか。
「では早速振り付けしてきます」
SHINYAさんがノートを確認しながら、指示を出していく。
「男はこっちで、女子はこっち。んで、バラバラの位置に立ってみて。
うーん、君はここで……君はこっち……」
最初の立ち位置を、SHINYAさんが微調整していく。
「最初はユニゾン。最初の8カウントは音を聞いて。
エイエンで、右足を後ろに引いて用意して、ワンで思い切り蹴り上げて」
カウントで皆が右足を上げる。
「……俺、蹴り上げて、って言ったでしょ。
頭の中で、サッカーボールを蹴るイメージをして、もう一度。
……そう、さっきより良い。
あっ、作品のイメージ言っておくの忘れた! ごめんごめん。
今回のテーマは『チャレンジ』! ……誰だ笑ったのは?」
スタジオに笑いが起きる。
「なので、常に笑顔で前向きな気持ちで踊ってください。負けるもんか、って気持ちで」
SHINYAさんがカウントを取る。
スタジオの全員が、目の前にあるサッカーボールを、蹴り上げた!
続く