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やっぱり会社に呼び出された。
当たり前か。
退職届を提出し、手続きをする。
後輩に引継ぎをする。
やる事やって、会社を後にする。
後輩が、
「先輩がいないと不安です」
と嬉しい事を言ってくれた。
私を必要としていた人がここにいた。
「大丈夫。私よりきっと上手くやれるよ」
笑って別れてきた。
後はハローワークに行って、失業保険の手続きしなきゃ。
ちょっと面倒臭いけど、生活の為。
結構時間かかるんだね、失業保険貰えるまで。
仕事に関しては、もう何とも思わなかった。
失業保険をもらいつつ、就職活動すればいいだけなのだ。
……決まるかどうかは不安だけれど。
動かなきゃ分かんないもんね。
誠吾の事は……まだ振り切れない。
目覚めても。
食事をしても。
ビデオを見てても。
コーヒーカップを見ても。
何をしていても、頭をよぎる。
その度に、泣きそうになる。
忘れていられたのは、ダンスイベントの時だけだった。
あの興奮の中で、何もかも忘れて楽しんだ。
あんまりにも楽しすぎて、現実感がない。
本当に私あそこにいたのかな。
またあそこに行きたい。
あのステージに立ちたい。
私に起こっている嫌な事、全部忘れたい。
もう、楽しい事しかしたくない。
パソコンを立ち上げて、ダンススタジオの名前を検索する。
続く