46



バーネットでマユと二人、花を選び始める。


マユが卒業祝いに、花束が欲しいと言ったのだ。


オーナーがお祝いに花代を出してくれると言ってくれたから、


値段を気にせずに選ぶ。



マユをイメージしながら、花を選んでいく。


強引で力強くて。


とてつもなく優しい。


ビックリするほど、か細く見えるときもあって。


たくさんの顔を持つマユ。


きっと、良い女になるだろう。



出来た!


自分的には100点だ。


一瞬黒澤さんの「75点」の声が頭をよぎる。


俺自分に甘いのかな。



マユも出来上がったらしい。


差し出されたのは、カーネーションと薔薇を中心に、


赤い花ばかりのダイナミックな花束。


「大輔には赤が似合う。赤い薔薇は情熱。


カーネーションは純粋な愛。


大輔はクールな振りして、本当はものすごく情熱的なんだよね」


そんな風に俺を見てたのか。



「大輔君が作ったのも素敵ね」


まだ蕾の、中央が薄いピンクの白い薔薇を中心に、


同じく白い大きい花を合わせて、


スパイスに、ワイルドストロベリーを入れた。


「蕾の薔薇は可愛らしさでしょ。白い薔薇は清らかな愛、純粋。


マユちゃんに似合うわね」


「ホントに可愛い……大輔の中で、私はこういうイメージなんだね。


ありがとう」


マユが持つと、マユもブーケも本当に可愛らしく見えた。



お互いの花束を交換して、写真を撮ってもらう。


照れくさそうに笑う俺と、嬉しそうなマユ。


オーナーが涙ぐむ。


「本当に大輔君、明日から店に来ないのね。寂しくなるわ」


「大丈夫ですよ、マユがいますから」


「そうですよ、私がいますから!」


「そうねそうね……頼りにしてるわ」



オーナーに挨拶をして、バーネットを出る。


少し歩いて、振り返る。



初めて黒澤さんに出会った場所。


あの日、お袋へのプレゼントを探していなければ。


黒澤さんが休みだったら。


出会えなかった。


もしかしたら、出会わなった方が良かったのかもしれないけれど。


黄色のブーケ、今でも覚えてる。


あの夜、俺をふんわりと温かい気持ちで包んでくれた。


その時からきっと、俺は黒澤さんを好きになっていたんだ。



バーネットと、入り口に佇む黒澤さんの幻を、目に焼き付けた。




続く