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最後に、マユに電話した。


絶句して、長い沈黙が流れた。


「……それは、本当に大輔の子供なの?」


「ああ」


「確かめたの?」


「黒澤さんに聞いた」


「そんなの当てにならないでしょう? 


何度同じ失敗してるの?


ちゃんと血液検査とかしてもらいなよ」


「そんな事しなくても、お腹の子供は、俺の子供なんだ」


「どうしてわかるのよ?!」


「俺が決めたからだ」


「……え?」


「黒澤さんが子供なら、それは絶対に俺の子供なんだ」


「どういう意味? あの男の子供であっても構わない、って事?!」


「……俺と血の繋がった、俺の子供だ」


「答えになってないでしょ」


「あの子がいれば、俺と黒澤さんは繋がっていられる。


ずっと一緒にいられるんだ」


「! 大輔、おかしいよ。ちゃんと現実を見なよ!」


「見てるよ。二人で大事に育てていくんだ。


二人の子供なんだから」


「違うかもしれないんでしょ?! 


そんな風に思い込んだって、いつか壊れる日が来るよ! 


子供だって……子供が一番可哀相じゃない、利用されて」


「利用なんかじゃないよ。親が子供を育てるって、当たり前の事だろ?」


「……もう何も聞かないって事ね。


そんな親に育てられた子供がどうなるのか、


じっくりと見させてもらうわ」


電話が切れた。



携帯を握り締めたまま、空を見上げる。


雲が空を覆って、太陽も月も見えない。



マユの言う通りかもな。


俺はおかしい。


アイツの子供なのか、俺の子供なのかなんて、どうでもいいんだ。


俺と黒澤さんを繋ぎとめる為の、鍵。


すくすくと育って、産まれて来い。


俺の子供として、黒澤さんと二人で育ててやる。


その子供がどうなろうと、何が待っていようと、構わない。


何を犠牲にしても、俺は黒澤さんの傍を離れない。




続く