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最近黒澤さんの様子がおかしい。


気分が悪いのか、ちょくちょくトイレに行く。


食事もあまり摂らない。


顔色も悪い。


「黒澤さん、風邪でも引いたのかしら。


具合悪そうよね。今日お休みしてもらおうかしら?」


さすがにオーナーも心配し始め、結局黒澤さんだけ早退した。


気が気ではなかったが、一人抜けたバーネットは忙しくて、


出来る限り頻繁にメールをしたり電話をかけ、様子を聞いた。



店を閉めて、薬と食べ物を調達して、走って部屋へ向かう。


黒澤さんはぐっすりと寝ていた。


おかゆでも作ろうとキッチンに入る。


キッチンのゴミ箱に、朝にはなかったゴミが入っている。


なんだろう?



ビニール袋を開くと、体温計とつぶれた箱が入っていた。


変な体温計。


紙が出てて、中央に緑のバツ印が付いてる。


何だこれ?


箱を見る。



妊娠検査薬?!


慌てて箱の裏を読む。


マイナス印は、陰性。


バツ印は、陽性。


もう一度、検査薬を見る。


バツ印がはっきりと出ている。



妊娠してる?!


黒澤さんが、妊娠。


……どっちの子供を?



あのクリスマスの日から、俺はゴムをつけてない。


俺の子供の可能性の方が高い。


正月に、アイツが避妊したかどうか、


確かめるまで安心は出来ないけれど。



もし俺の子供だったら。


黒澤さんと離れなくてすむんだ!


父親なんだから。


ずっと傍にいて、一緒に子供を育てよう。


頬が紅潮していくのがわかる。


もう、不安とか感じなくてすむんだ。


暴力を振るうように、黒澤さんを抱かなくてすむ。



永遠に、俺のものだ!




続く