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マユと俺が別れた事は、すぐに噂になって広まった。


尾ひれがついて。


マユが妊娠して、俺が捨てた、とか。


良いように貢がせてたとか。


そんな馬鹿な。



俺は何も言えない。


マユも何も言わない。


ただ、机に座って、宙を見ている。


無表情なまま。


二人沈黙を共有して、


クラスメートの好奇心がおさまるのを待つ。



受験期。


緊迫した空気と、勉強ばかりの毎日で、皆少しイカれてる。


腹の空いたワニの檻に、噂が放り込まれた。


面白おかしく脚色されて、流れていったのだろう。



本当の事は、二人しか知らない。


そうして誰も、本当の事を聞こうとしない。


人の不幸は最高の退屈しのぎだからだ。


本当の事なんて、どうでも良い。



沈黙を破ったのは、マユだった。


静かに涙を落とした。


教室の真ん中、机に座って。


ポロポロと。



女子はマユの味方になる。


恐れをなした男子も、女子に味方する。


勧善懲悪。



誰も俺に話しかけない。


すれ違いざまの冷ややかな目。


あからさまな嫌がらせはないものの、


ちくちくする視線が常に俺を追う。


居たたまれない教室。



早く、黒澤さんに会いたい。





続く