17
マユと俺が別れた事は、すぐに噂になって広まった。
尾ひれがついて。
マユが妊娠して、俺が捨てた、とか。
良いように貢がせてたとか。
そんな馬鹿な。
俺は何も言えない。
マユも何も言わない。
ただ、机に座って、宙を見ている。
無表情なまま。
二人沈黙を共有して、
クラスメートの好奇心がおさまるのを待つ。
受験期。
緊迫した空気と、勉強ばかりの毎日で、皆少しイカれてる。
腹の空いたワニの檻に、噂が放り込まれた。
面白おかしく脚色されて、流れていったのだろう。
本当の事は、二人しか知らない。
そうして誰も、本当の事を聞こうとしない。
人の不幸は最高の退屈しのぎだからだ。
本当の事なんて、どうでも良い。
沈黙を破ったのは、マユだった。
静かに涙を落とした。
教室の真ん中、机に座って。
ポロポロと。
女子はマユの味方になる。
恐れをなした男子も、女子に味方する。
勧善懲悪。
誰も俺に話しかけない。
すれ違いざまの冷ややかな目。
あからさまな嫌がらせはないものの、
ちくちくする視線が常に俺を追う。
居たたまれない教室。
早く、黒澤さんに会いたい。
続く