翼の付いたブーツを履いて
流れ星のように空を行くヘルメス
右手にアポロンの竪琴
左手に夢の鍵を掴んで
足跡代わりに遺された細い雲
追いかけるたくさんの人々
耳に残る竪琴の余韻
催眠術にかけられたように
ただひたすら進む先に
見えてくるのはオリンポスの山
ある者は美味しい木苺を
ある者は馨しい花を
ある者は自らの命を
自分の全てを差し出して
もう一度心地よい音楽を聴きたくて
オリンポスを目指す
神の音楽に魅入られた
もう離れられない
ヘルメスは歌う
心を震わせる愛の歌を
ヘルメスは奏でる
鼓膜を揺らす竪琴の音
全ての人の心を掌握して
ヘルメスは満足げに微笑み
また空を行く
もっと高くもっと遠くへ
そうして
足元を見ないまま
人々はまたオリンポスを目指す
『オリンポスの山を目指せ』
了