最終報告書も昨日送信完了し、来週数回授業をして終了、という訳で報告会の準備も兼ねて2年の活動を総括。
【赴任~1年目】
まず授業を成立させることが一番の難題だった。リマインドしないと絶対来ない。リマインドしても来ないなどなど、まあよく聞く話だが、他にもファンド申請も手間と時間がかかり、持ち出しで食材を購入することもしばしばあった。
授業になったらなったで、本来の要請である「日本料理の指導」を出来るレベルでは到底なく、あくまで「日本料理を通じて基礎技術を教える」といったスタンスでこちらさんのやり方に少しづつ慣れていく。
日本のプロなら当り前にできる盛り付けや飾り切りなどがかなり好評で、ファンクションやエキシビジョンで披露する、賞を取るなどを通じて技術などに関しては一目置かれるようになり(実際は全然たいしたことありませんが。マジで。)、やる気のある生徒がだんだんと集まるようになり、指導する機会は徐々に増えていった。
【2年目~離任まで】
2016年は比較的忙しかったが、今年に入ってっから色々問題が出始める。
①学校に金が無く食材が無いので誰も実習をやらない(厳密に言うと授業用の食材より、ファンクションでゲストに振舞う喰いもんが優先されているだけで、金はある)
②人数が少ないコースの生徒、移籍させられる。卒業証書ではなく技術を学びたいという生徒もどんどん去っていく。
とまあ、そんな感じで今まで築いてきた生徒とのいい関係も一瞬でパーになり、僕も授業は全て持ちだしで行うが、指導する生徒も少人数で、コロコロ変わるので段階を踏んだ授業があまりできなかったのは非常に残念だ。活動としてはかなり尻すぼみに終わった。(まだ終わってないけど)
その他2年間を通して、
ヒマな時間が多かったのでひたすら教材の作成。レシピ集、日本の食文化紹介記事、ドキュメンタリー(情熱大陸やプロフェッショナル仕事の流儀など)に英語の勉強がてら字幕を付けて配布など。レシピはあくまで現地available食材で出来るものだが、日本食だけでなく中華や日本でポピュラーな洋食も含めて300は超えた。同僚、生徒に配布済み。
外部ホテルでのワークショップをするために、ビクトリアフォールズにてスーツ着て自転車乗ってホテルを周って営業活動するも空振り。
後日電話やメールでフォローするも空振り。地元ムタレのアンバーホテルでのワークショップを数回行うに留まった。
他、学校以外でもイベントがあれば極力参加し、チャンスがあれば料理の試食、展示を行ったが、①食い物は何するにしても金がかかる ②衛生面で許可が取りづらい という事もあり、チャンスは非常に少なかった。
とまあ、活動の内容としては大体こんな感じ。成果と言えるような成果はまあ無い。日本料理を少し知った?レシピをたくさん作った?新しい切り方を覚えた?全部ネットで出来るし。
正直彼ら伝えたい事はまだまだたくさんあるが、言葉の壁はこういう大切な時にこそ高くなるもので、日常会話で単語並べりゃ言いたい事伝わる、というのとは全くわけが違う。本当に大切な事を思った通りのニュアンスで伝える、というのは僕程度の語学力ではまだまだ難しい。これも悔いが残る。
印象としては実習はかなり軽視されている。何かと潰れる事も多いし、悪く言うと、おままごとの延長といってもいいが、ある程度仕方がないと思う。
日本のように 料理人=厳しい修行 みたいなイメージも無いから心構えがまず全然違う。おいしい、おいしくない、好き、キライ、アペタイジング、ナイスで終わる。
どこのレストラン行っても出してるものは似たり寄ったりで高度な技術が必要なモノはほとんどない=切れない包丁でもできちゃう し、ホテルもレストランも競争が無いので別に頑張る必要もないから技術、知識の向上も無い。そんな感じだろう。それよりもまずは職にありつくこと。それなら卒業証書にしか目がいかないのもまあ納得。
活動を通して一つ言える事は、日本と比べて出来る事の差はそこまで大きくない、という事。
手に入らない食材もたくさんあるけどそういう事じゃなくて、一通りの調理機器もあり、電気とはいえストーブもあり、水もちゃんと出る。基本を勉強するのは十分な環境だ。ネット開けばいい先生はいくらでもいる。
何回か触れているけど、ネットがあれば大体の基礎は独学で勉強できる。回線が遅い、料金が高い、ラップトップ無いというのも所詮は全部言い訳で、やろうと思えばいくらでも手段をとれる。僕のパソコンとバンドル使って毎日1時間新聞読んだり、ブレンダー2回もぶっ壊して平気な顔してるくらい(良くも悪くも)図太い神経してるじゃないか。
結局自分たちは貧しいとか言い訳をして、先進国の支援を当てにしている限りは自分で何とかしようなんて思わないから何言っても無駄。僕も後任は来ないと何十回も言っているが未だにいつ来るんだとしつこく聞かれる。いい証拠だ。僕がいようがいまいが、何もかわらないのは明白だし、そういうマインドが彼らに一番必要な事だとすれば、それこそ支援なんてしない方がいい。本当に自分たちで行けるところまでやって、その先に行くために支援が必要ならばまた力を貸せばいい。
僕ごときが上から目線で偉そうな事を言ってアレだけど、まあ少なくとも僕の配属先に関してはそんな感じです。
余談ですが、技術移転というのも半分は建前で、実際の支援の意味というのはもっと別の所にあると思うので、そういう意味では派遣するのもいいと思いますが、まあ、決定権があるのは僕じゃないので、その辺はなんとも言えませんが。