2月4日、元気で動ける内にという竹ちゃんの
言葉に押され、真冬の旭川に帰郷する。
昨日までは冬の嵐だったというが青空が澄んでいた。
弟に迎えに来て貰い、姉の自宅に向かう。
急に帰って来た事を訝しく思っているのだろう、
会話が途絶え気味になる。
コーヒーでも入れるねという姉の言葉に
今は飲めなくなっていると答える。
何処か悪いの?
うん。膵臓がんになり、余命宣告を受けたと
告げた。
だから急に帰って来たんだ。なんか変だとは思ったけどと二人の顔を暗く、曇らした。
お爺さん二人が胃癌で60歳で亡くなっていたから、昔から覚悟と用心はしていたけど、膵臓がんは予想外だったと伝える。
遺伝性だったら弟にも姉さんにも
可能性があるから検査をした方が良いと思ってと伝える。
二人ともお爺さんの胃癌の事は知らなかったという。
子供達の為に遺伝性の可能性は自分の血液検査で調べるけどそれまで時間が掛かるから検査を
勧める。
姉はまだ自分の枕元に置いたままになっている
義兄の遺骨を見ながら、私は検査はしない。
早く迎えに来てほしいから、全て受け入れると言う。
日帰りだからお昼を食べに行こうと渋る姉も誘い、お気に入りの回転寿司 トリトンに寄って
席の予約をしてから実家に帰宅する。
仏壇を拝み、父母にまだ、そちらには
行きたくないからと報告する。
先に予約をして置いたおかげで
それ程待たずに席に案内された。
姉は相変わらず、イカだけで良いと少食だ。
そういう自分も昨日までと比べると食べる事が出来たけれども、弟も箸が進まないようで
支払いはいつもの3分の1にも満たなかった。
車が怖いと言う姉の自宅まで送り
空港まで弟に送って貰った。
美味しい魚なら食べれかもと買っておいて貰った
サーモンを手土産に東京行の列に並ぶ。
じゃあ。という僕の身体は
突然の弟の強いハグに包まれた。
我慢して震えているのがしっかりと伝わったので
自分も強いハグを返した。
また、会えるからと弟と自分に言い聞かせ
高齢の男兄弟の旭川空港での別れのハグを終わら
せた。