さっき彼女から電話があった。


電話ごしだったけど、

すぐに異変に気づいた。


今にも泣き出しそうな声で、

オレにすがりつくように

話し始める。


バイト先で、怪我をしたといった。


パチンコ屋の閉店作業をしている時、

彼女の頭上から薄く鋭い鉄板が落下した。


鉄板は彼女の顔に突き刺さり、

顔からは大量の血が流れた。


その後、バイト仲間に連れられ

病院へ向かったが、

土曜の深夜だ。


先生が不在のため、

処置のしようがない。

軽く消毒をしてそのまま、

帰らされた。


病院側は、

とりあえず5000円

おいていけといった。



バイト先の社員は何をやってるんだ!


救急病院のくせにその対応はなんなんだ!


次々と怒りがこみ上げてくる中、

彼女が家に着いた。



彼女は笑わないでねと一言いうと、

おそるおそる顔の傷口を見せた。


鼻の下がパックリ割れていた。

血は止まっていたけど、

傷口は相当に深い。


どうしよう。

もう表歩けないよ。

こんな顔じゃ・・・


彼女は泣き出した。


バイトも傷が治るまで、

休むことにしたらしい。



顔は女の命。

その顔が傷物にされたのだ。

ごめんですまされる問題ではない。




「なんでこんなことになったんだ。

社員はその時何をしてたんだよ?

何の手当てもないのか?」


「社員は大丈夫?っていうだけだよ。

手当てのことは何もいってなかった。」




金で解決してほしかったわけじゃないけど、

自分の会社の従業員が、

就業中に怪我をしたのだ。

それなりの誠意を見せてほしかった。




あの店はこの事件の大きさを全く理解していない。


今回は、たまたまオレの彼女が犠牲になったおかげで、

店としては単なる従業員の怪我ですんだかもしれない。


でも、これが営業中に起きたらどうなっていたと思ってるんだ?


客にこんな大怪我させてみろ!

客からの信頼は一瞬で吹っ飛ぶぞ!!

そのとき、おまえらはどう謝罪するつもりなんだ!

どう謝罪したところで1年はおまえらへの信頼は返ってこない。


そのくらい重いことなのに、

従業員が怪我したときは、

何の対応もないのか?!


従業員からの信頼さえお前らは失うぞ!

従業員の笑顔なしに、

客に満足を与えることができると思っているのかお前らは!




なんでうちの彼女が犠牲にならねばならなかったのか…

悔やんでも悔やみきれない。


ちょっと時間がずれていれば、

あのとき彼女がそこにいなければ、

こんなことにはならなかったかもしれないのに。




しかも、病院は何やってんだよ!

なんで救急病院に指定されてるくせに

すぐに処置ができねえんだよ!


そりゃ命には別状はないかもしんねえよ!

でも、他に救急患者はいなかったんだろうが!

そんなら、顔に傷できちまった彼女に

全力で治療してくれてもいいんじゃねえの?


おまけに今は料金の計算ができないので、

とりあえず5000円置いていって下さいだぁ?

冗談はおまえの顔だけにしろっつうの!

消毒しただけのくせに、

偉そうなこというんじゃねえよ!




あー、理不尽なこといってるってのは、

自分でもわかってるよ!


でも、おさまりがつかないんだよ

パチンコ屋にも病院にもよ!



彼女は3時間以上泣き続けて、

ついさっき寝床についた。


最近、オレは就活で、

彼女はバイトで忙しくて

全く二人の時間はとれてなかった。


今日は一ヶ月ぶりに、

二人で買い物に行く予定だった。


でも、彼女は傷を気にして、

表には出たがらない・・・


あんなに彼女が楽しみにしてた

前日にこんなことが起こるなんて…



神様なんてのがほんとにいるんなら、

これほどたちの悪いやつはいないね。

悪ふざけもたいがいにしろ!