特別お気に入りのカフェが、1つあります。


その名も、un cafe 。


白い木製の扉を開けると、

どこかヨーロピアンな雰囲気たっぷりの空間が広がります。

漆喰の壁も、これまた素朴。

音楽も、煩くありません。


ランチも、ディナーも、

学生のご飯にしては、少々お高いので、

学生や子どもは少なく、落ち着いたカフェでございます。


ここまでですと、あまり他のカフェと、大差ありません。

しかしながら、僕を、ここまで引きつけるun cafeの魅力は店主にあります。


カフェの店主というと、若い女性を思い浮かべます。

それか、少しアンニュイな好青年。

どちらにせよ、若くて、御洒落な方というのが、

カフェの店主に対する、一般的なイメージではないでしょうか。


un cafe は違います。

まるで熊のような、大きなおじ様が、店主なのです。

決して、若いとは言えず、

御世辞にも、御洒落とは言えないおじ様です。

大きく出たお腹に、エプロンを着て、

お料理を作り、ときに御飲物の提供もなさいます。


僕は、このおじ様を愛していました。

(深い意味はございませんよ。)


だって、このヨーロピアンな店内のインテリアや、

可愛らしい小物の趣味は、そのおじ様の趣味なのですから。


カプチーノをお願いすると、泡にハートを描いてくれるのも、

この熊のような、おじ様なのです。

このギャップ。

愛さない訳がありません。


カフェを開く前は、コックさんだったおじ様がお料理を作るので、

お料理のお味は、申し分ありません。


寂しい哉。

店内は、基本的に撮影禁止でございますので、

皆さまに、店内の御写真をお見せすることは出来ません。


特別お気に入りのカフェであるからこそ、

独り占めをしたいので、このカフェの所在地などは、

今回は、秘密にさせてください。

大学生になると、同棲を始める方々が増えます。

一体全体、何が楽しいのでしょうか。

同棲の魅力なんて、これっぽちも分かりません。

分かりたくもありません。


同棲をするということは、

好きな人に「見せたくないもの」を晒け出すということ。


寝癖たっぷりの髪の毛を。


寝顔を。


歯磨きを。


下着を。


などなど……。


同棲している方は、気にならないのでしょうか。

ただでさえ、起きぬけの姿なんて、自分自身でも嫌悪しているのに、

誰が、そんな醜い姿を、好きな人に晒すもんですか。


醜い部分は、晒してはいけません。

ましてや、それを好きな人に。


シンデレラに一目惚れをした王子様は、

美しいドレスに着飾ったシンデレラに恋をしたのであって、

決して、自然体のシンデレラに恋をしたわけではないのです。

だって、そうでしょう。

ぼろぼろの、つぎはぎだらけのお洋服を着て、

ぼさぼさの髪の毛、毎日の家事に疲れ切った表情、

そんなシンデレラを、誰が愛するのでしょう。

マグカップ。


ティーカップや、コーヒカップに比べたら、

やや上品さに欠けて、どこか生活感の漂うマグカップ。

だけど、その寸胴な形、唇を当てたときのカップのちょうど良い厚さ、

それが堪らなく好きで、毎年1つは、新しいマグカップを購入しています。


マグカップというと、Fire King を思い浮かべる方がいらっしゃると思います。

アンティークの1つとして、熱心なコレクターがいるほど、

ある意味、世界一有名なマグカップなのかもしれません。


だけれど。


マグカップは、陶器であるべきものです。


その点で、耐熱ガラスを利用している Fire King は、

もはや、マグカップとは言えません。


透明度の一切ない陶器が、温かいお飲物に、

ぴったりだと、思っています。


おととし、どこにでもある雑貨店で、

白い陶器に、可愛らしい苺が散らばるようにプリントされた、

マグカップを購入いたしました。

デフォルメが少ない、本物の苺に近いそのプリントに、

僕は、一瞬で一目惚れ。すぐに、お会計を済ませました。


値段は、1000円くらい。

なんて、チープなマグカップ。


それでも、1000円以上のときめきを、

このマグカップは、僕に与えてくれたのです。


なんとなく、この苺のマグカップで、

最初に飲むお飲物は、いつもの珈琲ではなくて、

やはりストロベリーのものが良いような気がして、

これまた、近くのコンビニエンスストアで、

ストロベリー・ラテの素を購入しました。


いつもの椅子に座り、『下妻物語』のサウンドトラックをかけます。

「今日の気分は、She saidかしら。」と、

リピート再生で、永遠と、She said が静かに流れています。

幸せは、もう、すぐそば。

マグカップだけをテーブルに乗せ、

茶道のお作法よろしく、まずはマグカップのプリントを目で楽しんでから、

両手で持ったまま、ゆっくりと、まずは一口ストロベリー・ラテを飲みます。


インスタントのストロベリー・ラテは、ひどく甘ったるい味でした。

それでも、なぜか、とても美味しく感じられたのを覚えています。


苺のマグカップ、永遠なれ。