さて、今では当然のように嵐の楽曲が流れる妹宅の車内であるが。

少し前までは子供らしい楽曲に満ち溢れていたものだ。


みんなの歌だったり。

アニメの曲だったり。


それを楽しそうに口ずさんでいた姉妹たち。

「プリキュア歌ってー!一緒に!」

などと無謀な強要をされていたものである。

プリキュアも素敵なアニメである。

素敵すぎて、もう今や何作目なのであろう。

いろんな名前のプリキュアがいるのである。

すべての主題歌を覚えることなど

無謀な事であると思うのも無理はないと思って頂きたい。

「えー覚えてないもん」

長女の強要をさり気なくお断りすれば

「歌ってれば覚えるでしょ!」

「えーーー」

すごい理念で怒られて、ひどく驚いた覚えがある。

歌詞も分からない歌でさえ、歌えば覚えるという彼女の持論に

ムリだろ、と心で異論を唱えながらも

鼻歌まじりに聞きかじったメロディを歌ったものだ。



はじめに車内に嵐の楽曲を持ち込んだのはママだ。

たまには子供向けでない普通の曲も聞きたい。

ささやかなママの願いである。

姉妹たちが嵐好きになった頃

嵐のベスト盤を貸してくれと頼まれる。

何故か二つベストアルバムを所有している為

快く妹宅に貸し出した。

それからすぐのことだ。

姉妹たちが嵐の曲を好んで歌い始めたのは。

よもやここまで彼女たちの心を掴むとは

ママも予想していなかったであろう。

車に乗り込むなり

「ママ、嵐にしてー」

リクエストが飛ぶ。

少し前まではこれがプリキュアだったりしていたというのに。

「キラキラ星がいいー」


ん?キラキラ星?


そう思う方もおおかろう。

嵐の楽曲にそんな曲ないだろうと。

かくゆう私もその一人である。

キラキラ星?と眉を顰めて聞いていれば

「空に輝くよキラリー」

声高らかに歌う姉妹の声。


なるほど。

それでキラキラ星。


子供らしい発想にクスリと笑う。

英語文字のタイトルは彼女たちに馴染みがないからであろう。

他にも

「アー アー アー」や

「イエイ イエイ イエイ」など

本来とは全く違うタイトルになっていたりするものもある。


いやはやなんとも可愛らしい。


しかし特出すべきところはここではない。

他でもなく、姉妹が歌詞をきちんと口ずさんでいる事である。

ようやっと次女は平仮名を覚え始めた頃である。

長女もまだ簡単な漢字しか読めない頃である。

無論、歌詞カードを読める訳ではないのだ。

文字通り「歌って覚えた」のである。

彼女は持論を証明してみせたのだ。


いやはや実に立派。


ムリだと一蹴した自分が恥ずかしい限りだ。


ドンドン曲を吸収していく長女であったが

「ここ、キラーイ」

口を閉じてしまう箇所がでてくる。

「えーカッコイイじゃん」

「何言ってるか、分からないだもん」

そういうのもムリもない。

翔くんのRAP部分である。


そうかぁ。

まだ小さい子には難しいよな。


そう思っていたものだ。

しかしである。

ほんの1週間も経たないうちに

「キラーイ」

と言ってた箇所をスムーズに歌っている長女。

「え?キライだったんじゃなかったの?」

「えーもう歌えるもん!もう好きだもん」


いやはや、天晴。


なんとも短期間でRAPを制覇した長女。

「パパパパパンプアップ!」

あんな低い音程を歌いこなす長女。

「お見逸れ致しました」

そう言わずにはいられない。


聞いて覚える。


昔は確かにそうやって覚えていたものである。

大人になって楽を覚えて

すっかり脳みそが凝り固まってしまった自分。


負うた子に教えられて 浅瀬を渡る


正にその通りである。

いやはや、実にお恥ずかしい限り。


幼い頃そうやって覚えた曲は

今もなお、忘れずに歌えるものだ。

彼女たちにとってどの曲がそうなるのか

これから先が、非常に楽しみである。