③の続き…



洗髪をしてくれている見習い風の美容師が、
(美)「痒い箇所ございませんか?」
と聞いてくる。


『いや、痒いんじゃなく痛いんですけど…。』
そう言いたいのをグッと我慢した。


ヒリヒリヒリするが、
(俺)「大丈夫です…。」
と答える。


そして、もうしばらく洗髪が続いた。


やがて頭皮の痛みは、
ジンジン→ズキズキ→ヒリヒリ…

と徐々に変化してく感じ。


『もしや、さっきの機械の温度設定を、間違えて高くし過ぎたのか?』
そう思った。



やがて時間が経ち洗髪を終える頃には、
消えはしないが痛みもだいぶ軽減されて来てたので、

『まぁいいや。』
ぐらいの気持ちでいた。


そして濡れた髪を軽くバスタオルで拭く。


ゴシゴシゴシッ


『痛っ!!!』


かなりの激痛。


『やっぱ火傷したのかもしれないな…。』


とりあえず、一通り髪をバスタオルで拭き終わると、また元の椅子に座らされた。


俺は頭皮の状態が気になる為、目の前にある鏡を見た。


『えっ……?』


あまりの衝撃に一瞬、鏡を視界から外し息を飲む。


そしてもう一度見た。


『何だよこの顔は…。』


目の前の鏡を見て、正直愕然とした。


顔に痛みは無いのだが、
まず額の右半分が赤くなっている。
加えて両眉から、まぶたや目の下、両頬の辺りにかけても赤い。


顔の面積からすると、約半分以上は赤かったかもしれない。


おまけに頭皮の痛みほどじゃないが、
赤くなっている皮膚の部分が突っ張った感じもする。


手で触ってみた。
すると、ザラザラとした感触。
同時に触るたびにピリピリとした痒みが走る。


どう考えてもパーマ前の自分と比べ、おかしいのは一目瞭然。


訳がわからずボ~ッと鏡を見てると美容師が、

(美)「あぁ~、ちょっと赤くなっちゃいましたねぇ。たまにいるんですよ、こうなる人。うちの使ってるパーマ液が肌に合わなかったのかなぁ。」


(俺)「えっ、そうなんですか?」


少し驚いた。


『そうか、他にもこうなっちゃう人いるのか。』
それを聞いて少し安心感に包まれる。


まぁ以前にもそういう事があったのなら、まだ良い。
俺だけじゃない訳だし。


気持ち的にも少しは救われた気になる。


だから、先程の頭皮の痛みなんかも、
『この店のパーマ液がたまたま俺に合わなかっただけかな。』
無理矢理納得させるように、自分に言い聞かせた。




それからある程度髪の毛を手直しして、最後に髪をセットしてもらう事に。


(美)「ワックスつけても大丈夫ですか?」
と聞いてきた。


整髪料は普段から使っているので、特に躊躇することなくお願いした。


美容師は両手でワックスを伸ばすと、
ワシャワシャと俺の髪の毛につけ始める。


『い、痛い…。』


バスタオルで拭かれた時ほどじゃなかったが、やっぱりヒリヒリする。


『ここのパーマ液が合わなかったみたいだし、少し痛いけど仕方ないか。』
そう思って我慢した。


そして料金を払い店を出た。この後、友人と遊ぶ約束をしていた。

しかし、こんな顔では会いたくないのでキャンセルして真っ直ぐ帰宅。


この時の俺は、まだ自分の病気のことは全く分かっていない。


この店のパーマ液が合わなかったのではなく、パーマ液自体が俺の肌に悪影響を与えるのだ。


まだ気付いてはいないが、これが俺の、最初のアトピー性皮膚炎発症。


これを境に、この先アトピーが俺のところに少しずつ顔を出すようになって行く事となる。


ちなみに人生で初の、パーマをかけた自分の髪の仕上がりを見た感想は…


5段階中
★★☆☆☆

微妙。




⑤へ…