主人公デフォルト名 ユウ=You
まるで何かが大地を這ってくるかのような揺れだった。
「何事だ!?」
シュバルツが叫ぶ。
するとバルコニーの入り口にバンとフィーネが現れた。
「敵襲だ!行くぞ!!」
その言葉に、弾かれたように駆け出すシュバルツとユウ。
先ほどの会話のことが気になるものの、今は敵をどうにかするのが先決だった。
ヒルツの仕業か」
ディバイソンに乗り込み、ビークで状況分析をするトーマ。
「へっ。この程度じゃ俺たちはやられないぜ!」
ブレードライガーに乗り込むバン。
邸宅の中庭や茂みの影にゾイドを隠しておいたのだ。
「こちらは少数精鋭だ。2人1組になって敵を迎え撃つぞ」
シュバルツの的確な指示に、皆は頷いた。
「行くわよ!」
ユウはセイバータイガーで飛び出した。
「待て、あまり先行するな」
アイアンコングが追いかける。
「なぁにシュバルツ。ビビってんの?」
「ふっ、まさか」
それからは2人の独壇場だった。
ユウのセイバータイガーがストライククロ―でモルガを倒すと、
シュバルツのアイアンコングがビームガトリングガンでレブラプターをスクラップにした。
「おお!流石は帝国軍最強をうたわれる2人だな。俺も負けてはいられん。ビーク!」
キュイキューイと音がしたあと、17連突撃砲が火を噴いた。
「メガロマックスファイヤー!!!」
すさまじい勢いで敵が一掃される。
こうしてユウたちは見事ヒルツの魔の手を退けたのだった。
ユウはセイバータイガーの近くで、その様子を見守っている。
すると、シュバルツが近づいてきた。
「お疲れ」
「ああ、君もな」
2人並んで、夜空を見上げる。
「君はどうするんだ舞踏会」
シュバルツは訊ねる。
「そういうあんたはどうすんのよ」
「俺は…」
何か迷っているようなシュバルツを横目に、ユウはドレスをつまみ上げる。
「戦闘で汚れちゃったしね…これ。今さら戻るわけにも…」
「俺と踊ろう」
「そう、今さら踊るなんて、え?」
隣から聞こえてきた意外な声に、目が点になるユウ。
「そろそろ舞踏会のフィナーレだ。俺と踊ろう、ユウ」
右手を差し出すシュバルツ。
ユウは逡巡した顔をする。
「でも…」
手を差し出したり引っ込めたりしながら、
「でも私は良家の出でもないし、美人でもないし、あんたとは釣り合わないわよ」
泣きそうになりながら言う。
「俺は君が好きだ。そのままの君が好きなんだ」
シュバルツは微笑んだ。
「シュバルツ…」
ユウは感極まる。
「急ごう。舞踏会が終わってしまうぞ」
「あ、ちょっと」
シュバルツはユウの手を取り、屋敷へと入っていった。
「大丈夫だ。俺がリードする」
まるで夢のようだった。シュバルツとワルツを踊っている。
足元が危なっかしいものの、ダンスを踊る2人は幸せそうだった。
その場にいた誰よりも輝いていた。
