始まりの輝 〜その8〜 | 大仏マンのお遊戯

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ダンス対決から数日が経った。


万里奈もクラスに馴染み、女子とも普通に会話をしていた。

一方のリオンは、相変わらず外の景色を眺めたり、音楽を聴いたり、今までとかわりない日常を送っていた。


ただ一つ変わったことといえば、



「リオン‼︎さっきの数学の問題、教えて‼︎」

「なんでお前に教えなきゃいけないんだ」

「リオンが数学の成績一番良いんでしょ。ねぇ、教えて‼︎」

「嫌だ」



万里奈が『リオン』と下の名前で呼ぶようになったくらいだ。
リオンは変わらず、万里奈のことを煙たがっているが。












そんなある日の放課後。

万里奈は突然職員室に呼ばれた。



「何で呼ばれたんだろう」



授業中の素行も悪くない万里奈は、自分が何故呼ばれたのか、分からなかった。


職員室に行ってみると、万里奈の他にも、数名の生徒が呼ばれていた。その中には翠も居た。



「あっ‼︎翠ちゃんも呼ばれてたんだ」

「そう、全然理由が分かんないけど……」

「だよね。あなたも呼ばれた理由分からないの?」



万里奈は、一緒に集められたもう一人の女子に訊ねた。



「は、はい‼︎うちもそうなんです……」



突然話しかけられて驚いたのか、少し大きな声で、もう一人の女子は答えた。
三人が話しをしていると、体育担当の先生がやってきた。



「集まりましたね。ここに居る三人は、先日の体育の時、ダンスのテストを受けていない人達です。ダンスは必修科目なので、このままでは単位をあげられません」

「そんな‼︎」

「慌てないで」



先生が取り出してきたの、文化会館で毎年行われているイベントのチラシだった。



「今年は、この学校でもステージで出し物をすることになったんだけど、あなた達には、このステージでダンスパフォーマンスをしてもらいます。それでダンステストは受けたことにします」



先生のその言葉を聞いて、三人とも固まってしまった。















万里奈達が固まっている頃、リオンはいつもの木の下で、ダンスの練習をしていた。



「やあやあ、リオン君」



すると突然、またあの男がどこからかやって来た。



「……またお前か」

「まぁ、そう睨むなって。どう?謙二君と対決してみて。言った通り、君とは実力が違うかっただろ?まぁ、君も何かを掴んで、結果は引き分けだったみたいだけど」

「お前に言われたから、やったんじゃない。俺より上手い奴が居るなんて、気に食わなかっただけだ」

「まぁ、何でもいいけど。とりあえず、リオン君がやる気出してくれて、良かった」

「ちょっと待て。そもそもお前は誰だ」

「俺か?俺は……それを教えるのは、また今度だな」




男はリオンの後ろを指差した。リオンが振り返ると、向こうから万里奈と翠がやってくるのが見えた。



「あいつらの事はどうでもいいから、お前の……」



リオンが前を向き直すと、既に男の姿はなかった。



「……ほんと何者なんだ、あいつは」

「どうかした?」



万里奈はリオンのところに辿り着くと訊ねた。



「何でもない。それより、お前らこそ何の用だ」

「ねぇ‼︎私達にダンス教えて‼︎」

「はぁ?」



いきなり何の事か分からないリオンは、困惑した。



「万里奈ちゃん。流石に突然過ぎて意味分からないから、ちゃんと一から説明してあげようよ」

「そうだった」



翠に言われ、万里奈はこれまでの事を一から説明した。
一部始終を聞いたリオンは、眉間にしわを寄せたまま黙っていた。



「……どういうことか分かった」

「それじゃあ……」

「断る」



リオンは即答した。



「……そんなすぐに答えなくても良いじゃん‼︎ケチ‼︎」

「おいおい、逆ギレかよ」



万里奈とリオンは睨み合った。



「ちょっと万里奈ちゃん‼︎リオンも‼︎二人とも喧嘩しないの‼︎ねぇ、今回は私からもお願い。合格の条件は創作ダンスで、練習期間も2週間しかない、初心者の私達だけじゃ無理なの。だから、お願い」



翠はリオンに頭を下げた。
しかし、へそを曲げてしまったリオンの機嫌は直ることはなかった。



「翠に言われたって、嫌なもんは嫌だ。それにそんなの俺が教えなくても、適当にやっとけば良いだろ」

「それが出来ないから頼んでるんでしょ」

「もういいよ、翠ちゃん。行こ‼︎謙二君に教えてもらおう‼︎」




そう言って、万里奈は学校の方へ戻って行った。




「それなら最初っから、三河のところ行っとけよ‼︎」



リオンは万里奈に向かって叫んだ。
万里奈はクルッと振り返ると、べぇ~っとリオンに向かって舌を出し、また学校の方に歩いて行った。



「はぁ~……あんたってホント馬鹿だよね」

「何だと?」

「そんなのあんたに頼むより、最初から三河君に頼んだ方が、スムーズに事が進むに決まってるでしょ」

「じゃあ何で」

「自分で考えたら?」



そう言って、翠も万里奈の後を追って、学校に向かった。



「意味わかんねぇよ」



独り取り残されたリオンは、そっと呟いた。