大仏マンのお遊戯

大仏マンのお遊戯

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遊園地に行ってから2ヶ月が経ち、リオン達は卒業式の日を迎えた。

他の生徒達が体育館に向かう中、卒業式の日になっても、リオンは相変わらず木の下で、空を眺めていた。




いつものように木の下で雲を見上げて寝転んでいると、不意に誰かの影に入った。




「またこんなところに居て。もうすぐ卒業式始まっちゃうよ」



覗き込んできたのは、万里奈だった。




「あぁ、わかったよ」

「そういえばさぁ、私たちが初めて会ったのこの木の下だったよね」

「そうだったな」




あの日、リオンが一人で空を眺めていた時に、万里奈がヘッドフォンを持ってきた。

万里奈はあの日と同じように、リオンの隣に行くと寝ころんで一緒に空を眺めた。




「あの日、もし私がヘッドフォンを持って来てなかったらどうなってたんだろうね」




木の枝の隙間から空を見上げながら万里奈は、リオンに投げ掛けた。




「……多分それでも今と変わらない気がするな。万里奈と会わなくても、あの日紅輝は俺に声を掛けてきただろうし、俺は謙二と勝負をしていたと思う。それにお前なら、翠ともすぐ仲良くなっていただろう?それに美佳子とダンスパフォーマンスするってなった時も、翠の知り合いがダンスしてるってだけで、万里奈なら声かけて来るだろ。お前結構ずうずうしいし」




リオンは万里奈の方を向くと笑いながら言った。




「ふ~ん、そうかぁ~……もういい!!」




自分のお陰と言ってもらいたかった万里奈は怒ってへそを曲げてしまった。




「そう怒るなよ。逆にいえば何したって万里奈とは関わるはずだったってことだろ?」

「そうだけど、何か嫌!!もっとこう、『君に出会って、僕の人生は変わったよ』とか言えないの?」

「……俺がそんな事言う人間だと思うのか?」

「……思わないね」




そう言って空を見上げながら二人で笑った。




「あっそうだ‼︎これ渡そうと思って」




そう言って万里奈は起き上がって、リオンに封筒を渡した。リオンが封筒を開けてみると、中には遊園地に行った時に6人で撮った写真が入っていた。



「他のみんなには、もう渡してたからリオンが最後」

「そうか。サンキューな」


そう言ってリオンは写真をポケットにしまった。



「さっ‼︎そろそろ、ほんとに卒業式も始まっちゃうし、体育館行こ‼︎」



万理奈は立ち上がって、体育館へと向かった。
リオンも立ち上がると、万里奈に続いて体育館へ行こうとした。

しかし、ふと立ち止まるとポケットにしまっていた写真を取り出した。先ほどは万里奈がいて、早々にしまったが、どういう風な写真が撮れていたか気になり、もう一度見てみた。


写真には遊園地の城をバックに、6人が横一列に並んで写っていた。



一番左端に居る美佳子は、控えめにピースをしながら笑顔で写っていた。


その隣の翠は、紅輝の腕に引っ付いてカメラの方ではなく、紅輝の横顔を嬉しそうに見つめていた。


翠に見つめられ紅輝は、横からくる熱い視線に少し困ったかのように、苦笑いしていた。


そんな二人の様子を見た謙二は、隣でクスクス笑っていた。


謙二の隣の万里奈はカメラに向かってピースをすると、満面の笑みで写っていた。


そしてその隣には、万里奈に無理矢理連れられてきたリオンが、少し不機嫌そうに写っていた。





たった一枚の写真に、6人全員の全てが詰まったようなこの写真を見たリオンは、何だか可笑しく思えてきて、クスッと笑った。




「ねぇ、何やってんの‼︎早く、早く‼︎」

「あぁ、今行くよ」



リオンは再びポケットに写真をしまうと、手招きしながら少し先で叫んでいる万里奈の元に駆けて行った。















卒業式も終わり、卒業証書を貰った生徒達が家族や友達と記念撮影をしている中、そんな事はお構いなしと、リオンは早々に学校を後にした。





しばらく歩いたリオンは、いつも練習をしていたあの公園に入り、いつもの木の下に来た。
そして、音楽プレーヤーをスピーカーに繋ぎ、いつもと変わらない様子でダンスの練習を始めた。



「君は、ほんとに相変わらずだね」



木の上から声が聞こえたので、リオンが上を見上げると、案の定木の枝の上に紅輝が座っていた。



「お前もな」

「卒業した日くらい、もっと皆と一緒に学校の思い出を話しながら感傷に浸ったら?……って、そんなタイプでもないか」

「分かってるなら聞くなよ。でもまぁ……」



リオンはダンスの練習を止めた。



「『終わり良ければ全て良し』って言葉じゃないが、最後の一年間はなかなか良かった。お前や謙二、美佳子に……万里奈。お前らに出会ったお陰で、そこそこ高校生活も楽しかった」



リオンはそう言うとまたダンスの練習を始めた。
それを聞いた紅輝は、ん~~と言いながら自分の顎を指で撫でリオンに言った。



「終わってなんかない。むしろこれから始まるんだよ」



ひょいっと木から降りると、紅輝はリオンに向かって言った。



「言っただろ。これからワクワクするような事がいっぱい始まるんだ。俺は半年で必ず君に面白い思う事を実行する。だから、楽しみにしてて」

「あぁ……期待して待ってるよ」

「じゃあ練習頑張ってね。あっ、そうだ」


帰ろうとしていた紅輝はクルッと向きを変えて、リオンの方を向いた。



「卒業おめでとう」



そう言うと紅輝はその場を後にした。

リオンは振り向きはしなかったが、ニヤッと笑うと、そのまま練習を続けた。












高校を卒業しても人生はまだまだ続く



高校生活というかけがえの無い時間で出会った大切な仲間との思い出を胸に、それぞれが別々の道を歩んでいく



時として辛く悲しい事があった時、ふとあの時間に戻りたくなる事もあるだろう



残念ながら、この先どれだけ長く生きようとも、あの時と全く同じ時間を過ごす事は出来ない



だが共に過ごしたという過去は、この先何があって消えることはない



その過去を、想い出として心に持ち続けている限り



私たちはいつだって、あの時間に戻ることが出来る