2018/9/23神戸「棚橋弘至 vs オカダ・カズチカ」の意味を考える | DaIARY of A MADMAN

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毎日、ROCKを聴きながらプロレスと格闘技のことばかり考えています。

これは“前代未聞” のことが起きる予兆なのか。

 

9・23神戸ワールドホール記念大会のメインイベントは、今年(2018年)3回目の対戦となる「棚橋弘至 vs オカダ・カズチカ」。【東京ドーム・IWGPヘビー級王座挑戦権利証争奪戦】として行われることになる。

 

2012年に初めて【権利証】なるもの(某団体の「○ネー・イン・○・バンク」の○○りだが)が登場して以来、過去一度も選手間を移動したことがない。

 

果たして今回、「史上初」が起きてしまうのか!?

 

 

ところで今回の試合、棚橋がオカダを逆指名したとされている。

 

G1で“奇跡の復活優勝” を遂げた棚橋にとって、5月の福岡で「IWGP防衛記録(V12)」を阻止できずに一敗地にまみれ、GIクライマックス公式戦では時間切れ引き分けに終わった決着を付けずに「ドームへは行けない」との想いがあるという。

 

しかし、この闘い。非常にリスキーだ。

 

 

既にIWGPヘビー級王者、ケニー・オメガに対し、「俺は彼のプロレスはあまり好きじゃない」という言葉でイデオロギー闘争を仕掛けている棚橋。

 

Codyとのバレットクラブのリーダー争いが勃発して以降、飯伏幸太との「ゴールデン・ラヴァーズ」を復活させ、完全にベビーターンしたケニーとの対戦では盛り上がりに欠ける。そのための「対立軸」づくりだと本人も明言している。

 

しかし、彼の本意は別のところにあるような気がしてならない。

 

以前、ケニーが「日本人選手は負けてもすぐにチャンスを貰える。ぬるま湯だ」と批判したことがある。「だったら、巡業全てに参加してみろ」と反論したのは内藤哲也で、確か棚橋は何もコメントを出していなかったはずだ。実はこれ、かなり珍しい。

 

団体の方向性みたいなことに関しては、必ずオピニオンリーダーよろしく意見を述べるのに、その時点での棚橋は自身には発言権が無いと自粛していたのかもしれない。だからこそ、G1を制した今こそ、ケニーにイデオロギー闘争を仕掛けたのだと思う。

 

クリス・ジェリコが「堅くあるべきだが、危険である必要はない」とインタビューで答えたそうだが(主にウィル・オスプレイを指しているらしい)、棚橋が「嫌い」だとする「ケニーのプロレス」もそこに該当するのだろう。

 

棚橋のプロレスは、足や首を1点集中で攻めるが、基本的にフィニッシュはハイフライ・フローで、決して相手を怪我させるような類のものではない。

 

昨今のプロレス界では怪我が多い。棚橋に縁のある人だけでも、未だ欠場中の柴田勝頼、首から下が動かせないという高山善廣、容態が不明(おそらく重症)な高橋ヒロムなどがいる。

 

業界の盟主である新日本プロレスの“エース” を自認する棚橋にとって、やはりそういった風潮に楔を打ち込むのは自分だという自負もあろう。

 

昨年春、柴田が倒れた際、棚橋の盟友・中邑真輔も「危険度を増し続ける新日本プロレス」に警鐘を鳴らしたことも記憶に新しい。

 

 

ファンを満足させ続けるプロレスを身体を張って示すケニーは素晴らしい。しかし、そんなプロレスを続けていたら、今後、どんな事故が起きるか分からない。棚橋はそういうメッセージを発信するために、今回のG1で復活を遂げたいうのは考えすぎか。

 

バレットクラブOGとして、バッドラック・ファレやタマ・トンガ、タンガ・ロアが暴挙の限りを尽くしているのも、実はそんな“過激さを増すプロレス” へのアンチテーゼのような気がしてならない。

 

頭から叩きつけたり、コーナーポスト最上段から投げ落とさなくても、ファンのヒートを買うことはできるし、満足させることはできるはず。ことさら“危険なこと” をしなくてもチャンスは巡ってくるはずなのだ。

 

棚橋やOGが伝えたいのはそういうプロレス観ではないだろうか。

 

 

そういうイデオロギー闘争の最中に、いきなり権利証を失うことは考えにくい。彼がやろうとしていることが全て中途半端になってしまうからだ。

 

棚橋が「ケニーとの対戦権」を失うことは確かに考えにくいし、あってはならないことなのだが、それとは別にオカダとケニーも昨年からのIWGPヘビー級王座を巡る争いでは「1勝1敗1引き分け」と決着を付けなくてはいけない因縁がある。

 

まして、ここで負けてしまったら、オカダのレーゾンデートルが崩壊しかねない。今の時代の流れの速さを考えれば、「IWGP12回連続防衛」など、一瞬にして「過去の栄光」になってしまう。オカダもまた、負けるわけにはいかないのだ。

 

さらに外道とのパートナーシップを解消したことが意味するものは何か。それも証明しなけばならない。

 

 

だからこそ、単なるリマッチではない、1段上の「棚橋弘至 vs オカダ・カズチカ」が観られるはずである。おそらく「覚悟」の強いほうが勝つだろう。ここ数年では、最もリスキーな試合になると思う。

 

もちろん、「ケニー・オメガ vs 石井智宏」、「内藤哲也 vs 鈴木みのる」も凄い試合になると思うが、「棚橋 vs オカダ」にはプロレスの未来が懸かっているのである。

 

刮目して見よ!








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