桜中学シリーズといえば誰もがまず『3年B組金八先生』を思い出すことだろう。

これには小生も異議なし!

特に昭和40年代生まれの小生にとっては たのきんトリオや杉田かおるが出た第1シリーズや 

腐ったミカンの加藤まさる、沖田浩之、ひかる一平らの 第2シリーズはいまだに欠かさず観る

ほど大好きな作品だ。 まさにドラマ史に残る不朽の名作だと思う。





でも今回ここで取り上げるのは 『2年B組仙八先生』。







若い人にとっては 「何それ?金八先生のパロディか何か?」といったところであろうが、

リアルタイム世代にとっては「金八先生」同様忘れがたい作品である。

(その意味では「1年B組新八先生」や「3年B組貫八先生」も同様であるが)


存在感が大きすぎた「金八先生」の陰にかくれて、あまり話題に上ることが少ない同作品ではあるが、

いえいえどうして実はけっこう面白いのだ。。。。








  





主演はムネさんこと さとう宗幸氏。 「金八先生」、「新八先生」ともにシンガーソングライター

が主役に抜擢されたが、本シリーズでもその慣例にならい 当時「青葉城恋歌」で人気を博していた同

氏に白羽の矢が立ったという。自らが歌う番組主題歌『萌ゆる想い』はゆったりとしたメロディが

爽やかな隠れた名曲である。 





ちなみに ”萌ゆる”という表現、、今でこそネット用語 ”萌え”として頻繁に見たり聴いたり

するようになった言葉であるが、昭和56年当時は文学者や詩人でもない限りほとんど口にする

ことはなかった表現であった。当然のことながら小生もこの主題歌で初めて知った次第である。

そのように 当時ほとんど使われることの無かった”萌ゆる”という表現を ムネさんは昭和56

には既に使っていたということに改めて驚かされる次第である。




こめかみに血管が浮いているのがわかるくらい熱く語る武田鉄矢の金八先生に対して、さとう

宗幸扮する仙八先生は決して感情的になることなく常に穏やかな口調で生徒を諭すといった感

じで、実に対照的な教師像になっているのが興味深い。




ところで、この”仙八”というのはどこから来ているかというと ”仙台”出身だから! 

なんと単純明快なネーミングセンス(笑)


その流れで考えると ”伊達仙八郎”の”伊達” や宮崎美子が演じる副担任の”細川安子の”細川”と

いう姓も仙台藩の伊達家や熊本藩の細川家から取ったものであろうと容易に想像がつく(笑)。


仙八先生の仙台弁とアンコ先生の熊本弁の掛け合いもこのドラマの見どころのひとつでもあった。

金八先生とは水と油だった大森巡査が、仙八先生では同じ東北繋がりで気を良くしたのか やたら

擦り寄ってくる協力的なキャラになっているのも面白い。





「金八先生」では たのきんトリオや伊藤つかさなど多くのアイドルを輩出したが、『仙八先生』でも

生徒役で出演していた薬丸裕英、本木雅弘 布川敏和(この3人はのちにシブがき隊としてデヴュー)、

三田寛子や本田恭章などはこの作品に出演したことがきっかけで人気者となり現在でも活躍している

のはご存知の通り。 


当初は「金八先生」同様 半年間の放送予定であったが、意外と視聴率があったことから さらに

半年間延長されることになったという。 そのために前の半年と後の半年で一部キャストに変更が

あったりするが、それがかえってマンネリ感を遠ざける要因になったともいえる。

シリーズの回数やスペシャル番組の回数では「金八先生」に遠く及ばないものの、1シリーズとしての

放送期間の長さでは実は「仙八先生」の方が長い

(ちなみに「金八先生」の他にスペシャル番組があったのも『2年B組仙八先生』だけだったりする)






  


ドラマ全体としては「金八先生」の中学生妊娠や校内暴力(いわゆる”腐ったミカン”のエピソード)の

ようなショッキングな内容を扱ったものは少ないものの、 前川克也のアンコ先生に対する憧れを描

いたエピソードや 森田すばる と年上の女子高生との初恋物語 を中心に話が展開する仙台旅行の

エピソード、後期には前川克也と上田夏彦の対立のエピソードなど30年以上経った今でも思い出深

いものが多い。


このように「金八先生」に負けず劣らず人気番組だった『2年B組仙八先生』だが、2014年9月現在でも

DVD化の噂は聞かない。 潜在的なファンは決して少なくないと思われるので是非DVD化を期待した

いところである。(ダイアポロン)