「あのさー。」


俺がそう呼びかけると お前はきまって、


「ん????」


と、少し目を大きくして、少し微笑んで。
何の疑いもなく、まっすぐに俺の方を見るんだ。



俺は、そんなお前との関係を、
どこか、都合よく考えていたのかもしれない。







「俺のモンスターとって。」

「はぁー?!そんなの自分でとりなよー!」


と言いながら取ってくれる。


「近いやつに頼んだ方が効率的だろ?笑」

「こっちは動かなきゃなんですけど!!?」

「www  せんきゅー」




こいつは、はな。

俺の幼なじみ、というかなんというか。
まぁ唯一なんでも話せるような友達。女だけど。


そんなこいつにも、まだ言えていないことがある。




昨日、俺は告白された。








「なに?どしたの、いきなり。」


相手はこの前ばったり会った、昔のバイト先の子。
二つ下のその子にいきなり呼び出された。

俺は、金でも頼まれるかなぁーなんて考えつつ
渋々待ち合わせ場所へ行ったのだが。


「あの…」

「ん?」

「私…ずっと土井谷さんが好きで」

「え?」

「あの…ずっと諦めようとしてたんですけど!
    どうしても…無理で…」

「…」

「ま、前偶然会った時に、言わなきゃっ…て、
    これは神様が言えって言ってるんだ…って…」


神様……?


「あのー…」

「あ!土井谷さん、彼女いましたか!!?
    す、すみませんそうですよね私そんなことも知」

「いや、彼女はいねぇけどさ…」


ん。

けど、何。俺。
何言おうとした…?、、ん?

いや、彼女もいなけりゃ好きなやつもいねぇじゃん
何、何言おうとしたかったんだよ…


「…土井谷さん?」

「あ、ごめん。」

「彼女がいないなら…私じゃダメですか…?」

「…」


どうした俺。彼女ほしかったじゃん。
わりと可愛いし。
全く好きとかないけど、付き合ったら分から…

…なーんか あいつがチラつくんだよな、
なんでだよ関係ねぇだろ…



「いいよ。」

「えっ…!!!ホントですか!!!
    わ…やった…やったぁ…ぁ……うぅ…」

「ちょ、な、なんで泣くの意味わかんねぇ」

「無理だと思って…っ…たから……
   私…世界一幸…っせです…!」


そう言って俺の胸に飛び込んできた。


これでいいんだよ


「ほら、濡れんだろ。帰るぞ、送ってくから」









そして、今日。

彼女ができたからといって特に変化はなく、
朝から
「おはよっ😋誠一くん、お仕事頑張ってね✊🏻💓」
という甘ったるいLINEが来たくらい。


おめぇはいつタメ口になって
いつ俺のことを名前で呼び始めたんだよ。


…や、彼女だから当然なのか。

「げーっ!!!!!なに!!!!!!!」





須「ちょっと飯野さん!
    土井谷さん、女とLINEしてますよ!!」

飯「はっ、お前も落ちたなぁ(笑)」

土「どういう意味だよ、するだろ普通に(笑)
   てか返せよ馬鹿が」

須「えぇー!ハートマークありましたよぉ!!!」

土「うるっせぇ」

飯「で、どこのガールズバーの子すか(笑)」

土「ちげーよ(笑)」




須「え、彼女?!彼女!!?彼女できたっ!??」

岩「なんで須藤がそんな興奮してんの(笑)」

須「だって岩田さん!土井谷が!ついにっすよぉ?!」

岩「で、彼女なの?」


なんでこんな責められてんだよ、、、
飯野は興味なさそうに興味もってるし。

須藤は言わずもがなだし、岩田も乗ってくんのかよ。

あーめんどくせぇ、、
言うつもりなかったのによ、、



土「ま、まぁ、彼女だけど」

須「はー!!!!やりますねぇ土井谷さぁん!!」
岩「いやお前いつの間にそんなことしてたんだよ」
須「歳は?!写真ないの!?写真!!!」
土「別にねぇよそんなのwうるせぇな離れろちょっと」


「どうせすぐ別れんだろ(笑)」






今回ばかりは飯野の毒舌が的中しそうで
何も反論できねぇ…


岩「へぇ~、土井谷がねぇ…で、どんな子?」

土「あー、まぁ昔のバイト先の子。」

須「え、年下?!」

土「まぁ、二個下。二十歳かな。」

飯「二!個!下!…よく年下と付き合えるなぁ(笑)」

土「おめぇと違って俺は優しいからなぁww」


飯野は専らの年上好き。
というか、年下と合わないらしい。
まぁ飯野らしいけど。



「いいねぇ~~今が1番楽しい時だねぇ~~~」

「なんで須藤が楽しそうなんだよww」

「いやぁ嬉しいっすねぇ~~~!!!」


ほんとこいつは…
人の幸せを自分の幸せとする能力があるからな…


「もって…3ヶ月っすかねw」

飯野は真逆で人の不幸を飯としてるからな…



あ、そういや、あいつ聞いてたかな







ソファーに目をやると、
何やら西尾とコソコソやってる。

なにあいつ。
あんなに仲良かったか?
…何話してんだよ。


席を立って移動しようかとすると、
同タイミングで西尾が席を立った。煙草だ。

うーん…2人はちょっと今は、照れくせぇし…

俺も吸いにいくか。



西尾は俺に何も聞いてこなかった。
珍しいなと思ったけど、興味ないんだろう。
俺も話したくはないし話すこともないし
ちょうどよかった。







「あのさー。」

「…んー?」


あれ。

いつもの顔と違う。
なに、その微妙な間。

や、俺の気のせい、か。。



それから1ヶ月間ぐらい、かな。
はなとの距離が、だんだん離れてって。

二人で遊ぶこともなくなり、
俺の好きだったあの顔も見れなくなっていた。


はなをスタジオに呼び出せば、だいたい来てた。
でも今は、何かと断られたり、来たり。

ん…?俺、避けられてるか…?


まぁ彼女できたからそうか、遠慮してんのかな。
彼女の束縛がちょっとキツめで、
はなを個人的に呼び出すこともできなくなってたし。

あいつなりに気ぃ遣ってくれてんのかな。

…俺はあいつとちゃんと話したいんだけどな。





「今日もスタジオこいよ」

も、というか、
今日は、なんだけどな…


今日はサブも回すって言ってたし、
あいつに回してもらえれば助かるし。

そ、そのついでにちゃんと話そう。


!!

「わかった」




…はぁ? 来ねぇんだけど。

なにしてんのあいつ。
もう20分も経ってんぞ。

いつも俺より先にきてんのに…


「ごめん、遅れる、あと30分くらい」
「了解」

岩田が遅れる、と。
となるとあとのヤツらは当然まだまだこねぇな…




ガチャ








「おせぇ。」

「………、ご、ごめん。…みんなは?」


は?なんであいつらが関係あんの?


「あ~…なんか岩田から遅れるってLINEきた。
   あとは知らねぇ、そのうち来んじゃない?」

「そ、そっかぁ~、、、」


…いや、なにこれ。
俺言い方冷たかったか…?

や、明らかにこいつがおかしいだろ。



「あのさ。」


いつものように言ってみるが…
おめぇはなんでそんなにビビってんだよ…

「な、に。」

「なんで避けてんの。」

「へ、、?」


「俺のこと。なんで避けてんの?」

「え、、いや、避けてないよ」
「いや避けてるから」

なにムキになってんだ、おれ…


「あ、えっと、、、、、」





「はなはさ、、俺の唯一の女友達なわけよ。
   なんでも話せるような」
「何でも、、!?
  …か、彼女のこと言わなかったじゃん」


へ?彼女…のこと…??


「それ、は、、」


えっと…?
こいつ、彼女できたって報告しなかったから
それに怒ってんのか…?
直接しなかったから?それだけ?


「あー、、、ごめん!なんか照れくさくてさ!」

「え、、?」

「ほら、なんかめっちゃ色んなこと話してきて
  ずっと一緒にいたじゃん?だから、照れくさくて」

「そうなんだ、、」

「ほんとは1番に言いたかったけど、ごめん!
  いきなりだったからさ!向こうから言われたのが」

   「そっ、か」


本当にそれだけの理由、なのか?
と一瞬思いながら、深く追求するのはやめた。

自分で、見て見ぬふりをしたこともわかっていた。
でも今それを口にしたら、
何かが色々と崩れていきそうで、、怖かった。



「私こそごめんね!!ちょっと寂しかっただけ!笑」

「寂しかった?ww  おまえ俺の事大好きかよww」

「それはこっちのセリフなんだけど。笑」

「ふっ、やっと元に戻ったなお前。」






あぁ、そうだ、その顔だよ、はな。

俺が好きなのはお前のその
「いやぁ、、
   おまえといる方が気ぃ楽でいいわ、まじで(笑)」

「えっ、、?」


やっ…べ…
つい口にしてたわ。

正直今の彼女は、The 女の子!て感じで、
顔歪ませて笑ったりとか馬鹿なことしたりとか
そういうのがなくて、物足りないというか…

いや、、俺なんで彼女とこいつを比べて…


「あ、え、え?笑  なにそれww  
   あーじゃあーまぁ、仕方ないから、
   好きなだけ遊び行くの付き合ってあげる。」

「なんだよ生意気だなww」

「えー?じゃあ行かないよー?呼び出しも無視す」
「それはムリ。」

 「え、、」

え、、


「俺が呼んだら絶対来て。誘ったら、OKして。
    俺、迎え行くから。」

何言ってんの俺…


自分でも分からなかった。
何を、誰に、口走っているのか。


でも。不思議と訂正はしたくなかった。
心はスカッとしていた。


「はいはい、りょーかい!」


そういって笑うこいつを見て、
俺はまた、気付かぬうちに恋をしていた。