アラフィフヨーガ講師ダイスケ。


ヨーガの真の目的は、

心の働きの止滅(チッタ・ブリッティ・二ローダ)だ。


ああでもない、こうでもないという

心の働きが僕らを束縛し、

苦しみを生み出す。


心から解放されることで、

真の自分としてよりよく生きることが

できるし、究極的には輪廻からの

解脱を果たす。


心とは表面的な部分のことだけではない。

顕在化できない深いところに、

ギットギトにこびりついた想念があるのだ。


無意識、潜在意識の領域には、

自分でも気づいていない、

根深い恐れや寂しさ、

悲しみや劣等感などがある。


何かが起きたときに、

その部分が反応して、

あらゆる思考や感情が湧き上がってくる。



僕の場合でいうと、

「普通に地味に、人生を生きるのは嫌だ。

何か特別な優れた存在になりたい。」と

ずっと思っていた。


だから、自分より劣った人を常に探していて、

優越性を保とうとしていた。


その根底には、強い劣等感があったのだ。


今はそれに気づき、

その劣等感も愛おしい

自分の一部だと思っている。

そうすると、劣等感は力を失っていった。



ところで、なぜ心の働きを止滅させるのに、

アーサナ(ポーズ)をやる必要があるのか。


腕だけで立ったり、頭で逆立ちしたり、

捻ったり、反ったり、

ヘンテコな格好をするのはなぜか。



これはもっとも重要なことだ。


まず、心の働きを止めるために、

呼吸や神などに、

意識を集中させる必要がある。


集中が持続している間は、

一時的だが思考が止まるからだ。


嵐の海のように、

荒波立っていた心が止まれば、

波は穏やかになり、深海まで見える。


心の深くが見えてくるのだ。


その方法が、坐っておこなう瞑想である。



だが、身体がガチガチに硬かったり、

不安定だったり、痛みや凝りなどの

不調があれば、それに囚われてしまい、

とてもじゃないがじっと座っていられない。


あぐらや蓮華座をして、

背骨を伸ばして、首や肩の緊張を緩め、

何十分、何時間も座るには、

アーサナによって、身体を解きほぐし、

不調を改善し、座れる状態を作る必要がある。



アーサナとは、本来ポーズという意味じゃなく、

快適で安定した姿勢で座るという意味だ。


柔軟性や筋力を高め、リラックスして、

長い時間、快適で安定して坐れる身体を作るのが、

本来のアーサナの目的だ。


あくまでもその結果として、

健康促進、ダイエット、美容効果という

恩恵がもたらされる。



もう一つ、アーサナには重要な意味がある。


深いところにある、

あらゆるネガティブな想念は、

筋肉や関節、内臓などに蓄積する。


言い換えれば、気が滞るのだ。


慢性的な筋肉の凝り、

関節の痛み、内臓の不調などは、

そういった想念が影響していることもある。


抱えきれないネガティブな感情を

あまりにも抑圧していると、

その心の痛みは耐え切れなくなり、

身体の痛みとなって現れたりする。


抑圧された怒りが原因で、

腰痛になることもある。


怒りは肝臓に影響する。

悲しみは肺に影響する。

不安は腎臓に影響する。



アーサナは、筋トレやストレッチとは、

目的も姿勢も違う。


日常の範囲をあまり超えないような姿勢では、

身体の深部にこびりつく想念へは

アプローチできない。


前屈、後屈、側屈、捻り、逆立ち、

深い呼吸によって、

アウターマッスルだけではなく、

使っておらず凝り固まったインナーマッスル、

眠り続けているスリーピングマッスル、

関節部分、内臓までも刺激して、

深部から身体を解きほぐす。



様々なアーサナをより深くおこなえば、

血流、リンパの巡りが良くなり、

気の滞りも解消する。


そうすれば、そこに蓄積していた、

負の想念も物理的に解消される。


ガッチガチに固まってこびりついていた

想念という油汚れを、

気という洗剤と呼吸という水で、

洗い流すという感じだ。


心理療法や認知行動療法、

ヒプノセラピーなども、

深い意識の中に入っていき、

想念を浄化したり、

トラウマを解消させたりするが、

アーサナは理屈抜きで身体と呼吸で、

負の想念を浄化させる。



さらに、その整った身体で

仏像のようにカチッと坐れば、

瞑想はグッと深まり、

心はピタッと静まり、

より深く自己を知ることとなる。



瞑想姿勢を保つこと。

身体に蓄積した負の想念を浄化すること。


この二つがアーサナをおこなう、

真の理由だ。


おじさんたちよ、

そのストレスの原因は、

仕事や奥さんじゃない。


仕事や奥さんとの関わりの中で、

反応してしまう心の働きが原因だ。


その不調は、想念による気の滞り

が原因かもしれない。


それを知るだけでも、

かなりストレスは軽減されるし、

ストレスによる身体の不調も、

アーサナで改善される。


身体が整い、

心が静まり、

落ち着き安らいだ状態で、

環境を変えるなら、

変えればいいのではないか。


僕はそうしてきた。


今、僕は心の在りようと、

言動と環境が一致している。


ヨーガはすごい。