こんにちは、医療職のダイです。



病院で事務職として働いていた僕は「言語聴覚士になりたい」と一念発起!…46歳の時でした。

そして48歳で国家試験に合格して、同じ病院で言語聴覚士として働き始めました。



ブログ記事では、当時のことを振り返りながら綴っていきます。


僕が新人の頃に言語聴覚士が対応するメインの障害は失語症・構音障害といったスピーチの障害で言語聴覚士向けに開催されるセミナーもスピーチの障害についてがほとんどでした。

僕が住む街では、近隣の病院勤務の言語聴覚士有志で「失語症の症例検討会」が立ち上げられて、定期的に平日の夜に集まって活動を行っていました。



どちらかといえば嚥下障害はスピーチの障害の影に隠れて、言語聴覚士といえば「スピーチの障害の症例を数こなしてこそ一人前」といった、スピーチ偏重主義的な雰囲気がありました(あくまでも当時の僕個人の意見です)


2022年現在においては、当時のスピーチの障害に偏っていた重心が嚥下障害の方へシフトしてきた感があり、その背景にあるのは、人口の4人に1人が高齢者だという超高齢社会だと思います。

当時の勤務先の病院では、80〜100歳の年齢層の入院患者様が中心で、スピーチよりも嚥下の治療が優先される場合が比較的多かったようです。

そうした中、入院患者様はもちろんのこと、外来や院内併設の通所リハビリに通ってくる在宅高齢者を見ると、明らかに羸痩の人が目立っていました。

嚥下機能の低下だったり、食べる意欲の低下であったり、栄養不足だったり…と理由は様々だと思いますが、食事と栄養のバランスが崩れている高齢者が多いことが明白でした。



ちょうどその頃「摂食・嚥下障害の基礎知識」についての勉強会に行く機会がありました。

講義の冒頭で、次のような話がありました。

平成23年現在の日本人の死因の第3位は肺炎
(そのうち約95%が高齢者)

日本人の10人に1人は肺炎で死んでいる

そのうちの誤嚥性肺炎は7〜8割

100人のうち7〜8人は誤嚥性肺炎で死んでいる


そうした話を聴いて、僕は「嚥下障害としっかり向き合わなきゃ」といった思いを更に強くしたのです。



やがて訪れる「2025年問題」✴︎に鑑みても、

・摂食・嚥下障害に対するニーズの高まりが必至であること
・摂食・嚥下障害に至る前の「予備軍」の把握と予防的アプローチの必要性

を強く感じたのです。

こうしたことから、自分は言語聴覚士として

特に嚥下障害で困っている高齢者を救いたい

といった明確な目標を持つことができたのだと思います。



こうした思いは、後年に学会で発表することになる「高齢者の低栄養と嚥下障害の関連」といった研究テーマに繋がっていきました。

✴︎「2025年問題」とは、西暦2025年以降、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、我が国が超高齢化社会になることを指します。