46歳の春、それまで病院に勤務していた僕は、一念発起!某医療専門学校の言語聴覚学科に入学しました。
言語聴覚士になりたい一心で
起床:朝4時半
帰宅:午後8時
通学:片道2時間半
といった生活を2年間続け、国試に合格することができました。
ここでは、当時の自分を振り返っていきたいと思います。
定期試験の科目毎の出来不出来は、模試や過去問の出来不出来に直結します。
当たり前といえば当たり前の話です。
僕は2年の間に定期試験で科目を落とした事はありませんでした。
これは、ある程度の学力が満遍なく身についているという見方もできると思います。
しかし、実際は、そんなことではありませんでした。
理解していないのに、かろうじて、単位を取ってきた科目がたくさんあったからです。
例えば、小児全般(言語発達障害、言語発達学、小児科学、生涯発達心理学)と音響学・聴覚心理学は苦手科目で、模試や過去問でも点が取れませんでした。
一方、嚥下障害・音声学・言語学・聴覚関係。
これらの科目は定期試験の結果が良くて、模試や過去問でも点が取れました。
僕は、成人対象病院の言語聴覚士になるつもりでしたので、小児や発達に関しては、心のどこかで「自分には関係ないや」という意識が働いていたのかもしれません。
さて、国家試験には出題基準というものがあります。
言語聴覚士国家試験では、基礎科目100問、専門科目100問の計200問が出題されますが、どの科目からどのくらい出題されるかの基準があるのです。
僕は、国試の過去問を眺めている時に「科目によって出題される問題数に大きな違いがあるのだな」と感じたことがありました。
これは、まさに出題基準のなせるわざで、国試にたくさん出題される科目とそうでない科目とがあったのです。
そうなると、学生は「自分の学力と出題基準と照らし合わせて勉強の戦略を立てること」が非常に重要になってきます。
そして、その戦略は個人毎に異なってきます。
なぜなら、得意不得意科目は極めて個人的なものだからです。
僕は、自分の学力に鑑みて以下の4つのパターンを考えました。
① 得意科目で出題数の多いもの
② 得意科目で出題数の少ないもの
③ 苦手科目で出題数の多いもの
④ 苦手科目で出題数の少ないもの
そして、この中で③と④を重要視したのです。
僕のケースをあてはめると
③が小児全般(言語発達障害、言語発達学、小児科学、生涯発達心理学)で、④が音響学、聴覚心理でした。
これらの苦手科目には、なかなか手が付かなくて、結局は実習が終わる12月まで放置状態。
僕はここで、苦手科目の音響学、聴覚心理学を捨て(勉強しない)小児全般の試験対策に集中しようと決めたのです。
出題基準では、小児全般は出題比重が大きく、
音響学・聴覚心理学は出題比重が小さくなっていたためです。
大きな点数に結びつかない科目に費やす時間はありませんので、点の取れる科目の学習に集中することにしたのです。
これは英断でした。
国試はマークシート形式の5択の問題です。
過去問を解いて答え合わせをした後に、正答できた問題も含めて選択肢の取捨選択の根拠を調べ、理解できない問題は深追いせずに「これはこんなものだ」と割り切って先に進みました。
その頃は、9〜13時、14〜18時、19〜21時と3回に分けて1日10時間勉強していました。
すると、ひと月過ぎた頃から、小児全般が頭の中で整理され問題が解けるようになり、苦手意識が薄れていったのです。
小児が克服できた頃は、既に国試までひと月切ったラストスパートの時期。
残りの時間は、試験範囲全体の中の自分のウィークポイントを反復して頭に刷り込みました。
このようにして僕は、国家試験出題基準をベースにした戦略を立てて実践し、苦手だった小児全般を克服して本試験に合格することができました。
結果的には、国試受験では、苦手で毛嫌いしていた小児関連の科目に助けられる結果となったのです。