46歳の春、それまで病院に勤務していた僕は、一念発起!某医療専門学校の言語聴覚学科に入学しました。
言語聴覚士になりたい一心で
起床:朝4時半
帰宅:午後8時
通学:片道2時間半
といった生活を2年間続け、国試に合格することができました。
ここでは、学生時代の自分を振り返っていきます。
2年間の学生時代でいちばんストレスフルな時期は、臨床実習の前後でした。
実習中には国試の勉強ができないと思うと、不安に苛まれたからです。
2年課程の言語聴覚学科では、2年生のお盆過ぎから臨床実習に行くことになっていました。
実習期間は合計12週で、4週と8週とに分けて、約3ヶ月かけて2カ所の病院・施設で実習を受けることになります。
受け入れ先の病院や施設は、県内の他に県外もありましたので、場合によっては、宿を借りてそこから実習先に通う学生もいました。
学校側は、どのような基準で学生をそれぞれの実習先に振り分けているのかは「謎」でした。
前期試験終了後に学生の実習先一覧が掲示されると、それを見た同級生達の反応は悲喜交々。
先輩からの事前情報で
「あの病院の指導者は気分屋らしい」
「あの施設では2年連続で実習中止の学生が出たらしい」
といったことクラスの中で情報として共有されていました。
ですので、自分がどこの病院・施設に送られるかは大きな関心ごとだったのです。
いずれにせよ、結局はどこへ行くにしても
日々の緊張感
多量の課題とレポート
睡眠不足の日々
がついてまわる。
それが臨床実習でした。
当然のことながら、受け入れ先の病院・施設の受け入れスケジュールもバラバラですので、クラスメート全員が実習を終えて学校に揃うのは12月になりました。
そうした中での僕らの心配事は「実習期間は日々の課題に追われて国試に向けた勉強ができない」ということでした。
国試対策に専念できるのは、本番まで3ヶ月を切った12月…といった過密スケジュールは2年制の学科の宿命とも言えます。
僕の場合を振り返ると
いざ、実際に臨んでみると…
いろいろ大変ではありましたが、目まぐるしい日々があっという間に過ぎていき、気が付けば12月になっていて学校に戻っていた
…そんな感じでした。
実習が終わってすぐに、模擬試験がありました。
国試対策の勉強は実習期間のブランクがありましたので「点は伸びないだろう」「実習前より点数が良くないだろう」と思っていました。
が、しかし、蓋を開けてびっくり!
なんと、点が伸びていたのです。
特筆すべきは
失語症
構音障害
嚥下障害
の点数の伸びが著しかったことです。
「国試対策なんてほとんどできなかった」と思っていただけに、ほんとにビックリでした。
実習に行く前の模擬試験では、合格ラインぎりぎりの点しか取れていませんでしたが、実習を終えた後は、合格ライン以上の点数がコンスタントに取れるようになっていたのです。
過去問においても然り、ある程度の点数が取れるのです。
これは、明らかに「実習効果」だと思いました。
当初は国試の勉強と切り離して考えていた臨床実習。
それはむしろ、国試に向けた勉強の足枷になるとさえ思っていました。
まさに目から鱗です。
臨床実習の意義はここにもあったのです。
実習では指導者から、臨床においての課題や問題点についてのレポートを毎日のように求められていました。
それについて、夜な夜な眠い目を擦りながら調べていました。
僕が受け持ちとなった患者様は延べ3人で、それぞれ
失語症
構音障害
嚥下障害
を抱えていらっしゃいました。
臨床実習期間は朝から晩まで患者様の障害について考え、疑問点について調べたりもしていました。
こうした事が、結果的に自分の力となって、試験の点数に反映したのだと思います。
ひとつの障害について調べていくと、脳の状態だったり、全身状態に関連する医学的知識だったりと、その周辺分野についても調べざるを得なくなります。
ですので、かなりの広範囲にわたり、教科書をひっくり返して読んでいたのです。
そうしたことは、専門分野のみならず、基礎分野の点数を伸ばした大きな要因だと推測されました。
「臨床実習の意義深さ」を思い知らされました。
もしもタイムトンネルがあって、実習前の「不安に駆られていた当時」に行けるとしたら「臨床実習の頑張りが国試対策としても有意義なことについて」クラスメートたちに伝えてあげたい。
それほど、臨床実習は大切なものだと、しみじみ思ってしまうのです。