僕が大学を卒業してから医療職に就くまでの経歴は以下の通りです。
① コンピュータ会社に就職
② 体外診断薬メーカーへ転職
③ 新規事業に伴う別会社への転職〜退職
④ 紆余曲折の黒歴史
⑤ 病院へ転職
現在は、⑤の病院へ入職後のお話しです。
2ヶ月半の休職を経て、復職した僕を待っていたのは異動命令でした。
出勤後、直属の上司に個室に呼ばれて、そう告げられたのです。
病院に併設して通所リハビリテーションがあるのですが、そこの責任者が急きょ不在になったので、後任が決まるまで代行として行って欲しいとのことでした。
上司の話し振りに、ちょっとした「他意」を感じ違和感を覚えてしまいましたが、休職で迷惑をかけていましたし、なによりも辞令なので受け入れるしかありませんでした。
勤務調整、送迎の配車、保険請求などの事務的な業務がメインになるはず。
しかし、当時は現場スタッフが不足気味だったので、送迎や物理療法の機器の操作など、状況に応じた対応が必要な事は想像に難くありませんでした。
利用者様と直接触れ合える機会が増えるのは、嬉しかったのですが、
「代行とはいえ、介護業界や現場の事をほとんど知らない自分…責任者として現場スタッフに受け入れてもらえるだろうか?」
ということがいちばんの不安でした。
そしてこの予感はみごとに的中したのです。
ちょうど通所リハビリテーションの利用者が減少していた時期で、月次の報告会に出席すると「利用者数を増やすように」とつつかれていました。
「改善しなきゃ」
会議での内容を、スタッフが受け入れやすい言葉や内容に置き換え、自分なりの指示を出していましたが、なかなか厳しかったのです。
「○○さんは事務屋のくせに色々言ってくる」
「現場を知らない人に管理ができるの?」
…などと、僕に対するスタッフの陰の声が聞こえてきたのです。
不満を組織の責任者にぶつけることは世の常です。
たしかに、僕に対して言われている事は事実なだけに、ある種のキツさがありました。
当然のことながら、要介護者の歩行や移乗の介助すらまともにできなかった訳ですから。
そんな人間から、業務改善目的とはいえ、自分達がこれまでやってきた介護業務の内容に口出しされて…きっと、自分達の仕事を否定されたような気持ちになったのかもしれません。
事実は事実、そうした批判も甘んじて受け入れました。
僕は、通所リハビリテーションでの経験を通して
現場でスタッフに自分の話をきちんと聞いてもらうためには
・仕事の実績を積んで信頼を得る
・専門職の証でもある資格を取得する
ということが必要だということを学びました。
専門職である有資格者の言葉には重みがあり誰もが耳を傾けます。
また、担当者会議にも施設の代表として出席する事がありました。
その席で、
「○○さんの職種は何ですか?」
と聞かれる事が度々ありました。
「事務です」
と返答していましたが
介護の現場で「事務です」ってないよな〜なんて思っていました。
医療や介護の世界は資格社会だと言う事を改めて思い知らされました。
そして、自分の専門(強み・売り)が必要だということを痛感したのです。
そうした中、なるべく現場に出ていって、介護の考え方や技術を身につけようと努めました。
早朝に出勤して、事務作業を早めに済ませ、出来るだけ日中の時間を介護スタッフとして、みんなと一緒に汗をかこうと思ったのです。
そうやって1年が経過した頃
僕は人生最大の転機を迎えることとなるのです。