僕が大学を卒業してから医療職に就くまでの経歴は以下の通りです。
① コンピュータ会社に就職
② 体外診断薬メーカーへ転職
③ 新規事業に伴う別会社への転職〜退職
④ 紆余曲折の黒歴史
⑤ 病院へ転職
今回の話は⑤の病院に事務職員として転職してからのお話しです。
日々の業務に追われる中で、ひとつ、心がけていたことがあります。
それは200人以上の職員の名前と顔を一日も早く、ひとりでも多く覚えるここと、みなさんに自分の名前と顔を覚えてもらうことでした。
当時、僕らの部署には、ひっきりなしに院内各署から内線がかかってきていました。
「風呂のお湯が出ません」
「蛍光灯が切れています」
「職員駐車場に部外者の車が止まってます」
「車椅子のタイヤがパンクしています」
「トイレが流れません」
「エアコンが効きません」
「交通事故に遭いました」
「雨漏りしてます」
「ベランダが鳩の便だらけです」
…などと、その内容は多岐に渡っていました。
いわゆるトラブル対応です。
当時の僕らの部署は営繕も兼ねていまして、正によろずやでした。
連絡を受けたら,先ずは、現場に行き「自分の目で確認」が部署のモットーでした。
その電話を受けた人間が初期対応をします。
僕は、かかってくる内線を取りまくりました。
そして現場対応のやり取りをする中で、職員の顔と名前を覚え、また自分のことを知ってもらおうと考えたのです。
この方法が功を奏しました。
それぞれのケースにエピソードが絡むので、職員の顔と名前が記憶に残りやすく、早い時期にたくさんの顔と名前を覚えることができました。
同じく僕も顔と名前を覚えてもらっていたと思います。
そのうち、院内ですれ違う時に、看護師が声をかけてくれるようになり…
少しづつ、院内で仕事がやりやすくなっていきました。
やがて、看護師から、職場での悩みを相談されるようになったのです。
相談してくる看護師は、100%女性で、その内容はほぼ人間関係でした。
永遠の課題ですね。
相談内容は、だいたい決まっていて、
・上下関係がある故に意見が言いにくいストレス
・マンパワー不足による激務が故にギクシャクする人間関係
に起因することばかりでした。
確かに病棟によって、もっというなら、日勤・準夜・深夜といった時間帯によって、その部署の雰囲気は大きく違っていました。
関わる人がその部署の雰囲気を作ります。
そうした中に渦巻く人間関係。
当時の自分は、看護師の話に耳を傾けて、励ますことくらいしかできませんでした。
そこから学んだことがあります。
それは、
「女性の相談には耳を傾けても意見しないこと」
ということです。
往々にして、そういうスタンスの時が、相手とのコミュニケーションが上手く取れました。
そうした事を通して、病院とは『非常に』ストレスを抱えやすい職場環境だということを知りました。
それは、閉鎖されたスペースでの長時間の激務に寄るところが大きいと思います。
しかも、そこは生命を預かる現場でもあるのですから。
そんな経験を踏みながら、僕は少しずつ病院勤務に馴染んでいきました。