1.はじめに

 導入修習とは,68期から開始された修習のプログラムで,12月頭から約20日(正味15日)に行われる座学,演習形式の講義を受けるものです。場所は,集合修習と同じ司法研修所で行われるため,関東以外の人は入寮し,関東在住の人は一部を除いて通所を強いられます


 「導入」と文言だけからすると,「なるほどガイダンスとか,実務のことを教えてくれるものなんだ!」なんて思うかもしれません。


 だがしかし


 確かに,その側面はあるにはありますが,主たる目的は,きっと以下のものだと思っています。

 連日の課題や即日起案,演習を通じて,自分の至らないところや,知識や理解の穴を徹底的に叩き出し,お前ら,司法試験に合格したからといって,法曹になれたと思うなよ?」(ドスの効いた声)と脅して,修習生を震え上がらせることで勉強を促すという軍隊的なものです。ビリー隊長の方がもっと優しい気がしますね。

 二次的には,同期の仲を深める目的でしょうか。この点は非常に良かったかと思います。

 さて,以下,導入修習について書きますが,修習生は,守秘義務を課せられているため,当然ですが,具体的な内容や事件については一切触れません。その点は,合格なさってから確かめてくださいね!


2.授業等

 一日,2コマから3コマの授業があり,1コマが3時間くらいあることもありますが,適宜に教官が休憩を与えてくださるので,実質的には1時間前後の授業です。時間は,9:50~16:50です。

 科目は,民事裁判,刑事裁判,検察,民事弁護,刑事弁護です。

 授業形式は,講義,演習,DVD視聴(しかも編集が過剰でしたww),実演,起案(答案作成)でした。

 プログラムは来年以降は変更があるかもしれませんが,69期は,開始3日目に即日起案がありました。各科目で書き方が少し違うのですが,そんな起案の書き方なんてものは一切教えてくれません。所長曰く,「法曹になるんだから,いちいち聞くんじゃなくて,自分で論理的に思考し,書き方を考えろ」とのことです(××××!!(自粛))。

 まぁ所長のおっしゃることはごもっともだと思いますが(大人な対応),プログラムの順序がクソというか,学習効果がかなり弱いと思います。だって,導入直後に受けた起案の解説を一週間後や最終日にされたって今更感ありますよね。 しかも,その解説の間にもぞくぞくと課題が出されるわけですから,どうやって書けばいいの?って疑問をもったまま全員課題を提出していくことになります。即日起案解説もそうですが,事前課題の解説も科目によってはかなり遅いです。もちろん,この点についてはアンケートで指摘しておきました。

 授業は,教官によってはめちゃくちゃ当てる人もいますし,当てない人もいます。なので,そこはめぐりあわせだと思って受け入れてくださいw 僕のクラスは,当てる先生が多かったように思います。もっとも,基本的には当てられた際に,間違ったり答えられなかったりしても怒られるということはなかったように思います(ただし,他のクラスでは怒る先生がいると聞きました。)。

 あと,結構寝てる人が多いです(;'∀')w 飲み会で尋ねたところによると,やっぱり教官らはしっかり気づいてらっしゃるようでしたw まぁ理由もそれぞれでしょうし,自己責任ですから,僕は何でも構わないと思います。

 僕みたいなラストチャンス・ラッキー合格者にとっては,念願の修習ですから,やっぱり無駄にしたくないと思っていますし,また,この気持ちを忘れてはならないと思っています。


3.導入修習中の成績等

 事前課題と即日起案の成績は,修習の修了の判断対象に含まれません。なので,好きなように書いていいと思います。もっとも,だからといって即日起案や事前課題を提出しなくてよいという訳ではないのかなと思います(おそらく,課題の提出をしないという姿勢に対しては悪印象を抱かれることもあるかと思います。)。

 姿勢といえば,寮には門限(23時)があり,これを超えると始末書を書くのですが(ちなみに,模範生たるダーレムは一回も破りませんでした。),裁判官志望はこれだけでだいぶマイナスになるみたいです。非違行為の質や量が,進路や最終的な修了要件に影響があるっぽいです。

【追記】
たとえ、白ブリーフパンツ一丁の画像をアップロードしていても、類まれなるカリスマ性と良識(意味深)があれば、裁判官になることは,十分に可能です。


4.教官

 各科目に担当教官がそれぞれ就きます(一年間ずっと)。 僕のクラスの教官はおそらく大当たりで,授業が上手だったり,人当たりがよかったり,おもしろかったり,癒し系だったりで最高でした。下手な予備校の講師や,ロースクールの教授よりも数倍わかりやすくて,大変満足度が高かったように思います。他のクラスの教官までは存じ上げませんが,少なくとも,僕のクラスの担当教官は,修習生に対する愛情というか,思い入れをすごく感じられるような面々でした。

 導入修習のプログラムや寮の細かい規則や,修習の手続に辟易とするところもありましたが,担当教官や良い同期に恵まれたという点は本当に不満が一つもないです。

 余談ですが,裁判官の教官は,知識や理解が深く,思考もかなり鋭いという印象を持ちました。へ~,なるほど!という驚きは何回もありました。さすがという感じです。


5.寮生活

 不満しかないですw 人生初の一人暮らしだったせいかもしれませんが,ストレスは半端なかったですねw 

 箇条書きにすると,門限が早い,壁が薄い,調理が一切できない,めちゃくちゃ乾燥する,ワイファイがつながりにくい,地上に近い階ほどプライバシーがない,共同生活のルールを平気で破る人がいる,火災報知器がアホ,研修所周りに何もない,食堂のごはんがまずい,本当にまずい!!!(しかも土日休み),エレベーターが混みやすい,談話室の近くだと騒音がすごい,寮によって如実に設備が違う などなど。

 集合修習耐えられるかな?(;'∀')


6.イベント・活動

 昼食会という公式イベントがあり,昼食をクラス全員で過ごすというものがあります。しかも,そこでは自己紹介を強いられますw 心の準備しといてくださいねw ちなみに,僕の自己紹介の盛り上がりというと……ご想像にお任せします

 あと飲み会は,本当に結構あります。クラス飲み会,修習地飲み会,班飲み会,女子会,ロースクール飲み会,ご近所飲み会,寮飲み会,就職先の飲み会などなど。人によっては毎日行ってる人もいましたねw 

 他にも,サッカー,野球,バレー,バスケ,ゴルフ,観光等もサークルでしてる人が結構いました!

 ちなみに,僕みたいなぼっち属性の人も結構多かったです。イベントに必ずいかないとダメとかではないので,その点は安心してくださいねw


7.その他

(1) 価値観の変容
 人生で,初めて東大生と授業を受けました。東大生は僕の中では,天使,ペガサスなどと並ぶ空想上の高貴な生物と思っていたので(「トーダイセイ」という名の),ほんまにいたんかと思いましたねw

 「東大生なんてエリート思考の強い人で接しにくいんだろうなぁ…」なんていうクソみたいな偏見を少し持っていたのですが,まったくそんなことなかったです!みんな人当たりがよく,気さくでいい人ばかりでした。ただ,やはりその視点の鋭さと知識量はすごいと思いましたねw やはり次元が一つ上と思いましたw 認識が改まりましたね。トーダイセイは,優秀で良い人が多い。 …全く適いませんわww


(2) 荷物
 人によりけりですが,人によっては,ダンボールを5個以上もってきたりしているみたいでした。僕は3つでしたが,本当にこれが必要最小限度だったように思います。他方,1個だけという猛者もいましたねw

 書籍について言及しておくと,基本的には白表紙のみで足りました。もっとも,要件事実の本や,刑事弁護の本(刑事弁護ビギナーズ等)は持って行ってもいいかなと思います。導入修習において,実体法の解釈が正面から問題になるようなものはなかったので,基本書は不要だったように思います。実体法は図書館で調べれば足りると思います(もっとも,図書館の品揃えはかなり悪いです。)。


(3) 服装
 入寮日は,導入修習前日です。僕は一応スーツで行きましたが,私服の人の方が多い印象でした。なので,入寮日は,私服でいいと思います。

 修習開始後は,男女ともにスーツが基本でした。もっとも,そうでなければならないというものでもないので,過度に派手でなければ問題ないかと思います。ただ,今年は少し変わった方がいらっしゃったみたいでw 僕らの中ではだいぶ話題になっていましたw 会いたかったなぁ!!


(4) 休日
 予習復習にあてたり,遊びに行ったりとそれぞれでした。僕は1日予習復習関係,もう1日を遊びに行ったり,ひたすら寝たりすることに使っていました。池袋まで約20分くらいで行けたかと思います。




 他に聞きたいことがあれば,個別にコメントで伺いますので,気軽にコメントしてくださいね!