星野一彦は自分の作った借金により
 
〝あのバス〟に乗せられることになってしまった。
 
それまでのあいだ、
 
体型から態度まで規格外の繭美という女が監視についていた。
 
〝待つ〟ということにトラウマを持っていた星野は
 
〝あのバス〟に乗るまで
 
5股をかけていた女性たちに別れを告げにいくことを提案し
 
繭美の面白そうだと受け入れ
 
5人の女性たちに会うことにする。
 
 
 
5股をかけていた星野一彦が
 
別れを告げるために付き合っていた5人の女性に会いにいく
 
という話なのだが、
 
そこにはアブドーラ・ザ・ブッチャーのような
 
常識の通じない規格外の女が付き添っている。
 
そんな体型で毒舌、
 
嫌味しか言わないものの
 
ある種、的を得ている言動は
 
想像上、マツコ・デラックスしか思い浮かばない。
 
星野に至っては
 
堺 雅人 しか思い浮かばない。
 
そんなおかしな感じの二人が
 
5人の女性に会いにいく。
 
廣瀬あかり、霜月りさ子、如月ユミ、
 
神田那美子、有須睦子。
 
普通にありがちな感じのあかりとシングルマザーのりさ子は
 
想像できる範囲の対応なのだが、
 
綱を使って侵入することを好むユミや
 
何でもかんでも数字に絡める那美子、
 
そして女優の睦子のくだりは面白い。
 
もちろん読んではいないがこの作品は
 
太宰治の未完の小説『グッド・バイ』のオマージュらしい。
 
太宰がこの作品を読んだら
 
どう思うのか聞きたいものだ。
 
しかしこの作品を読んで改めて思うのだが、
 
伊坂作品は通常なら悪者がいい人という設定が多い。
 
泥棒や殺し屋が多いのもそうだが
 
死神とか
 
この作品のように5股とか。
 
悪者ではないけど5人の親父とか
 
常識的にはヤバいと思うような人が
 
とにかくいい人すぎる。
 
そーいう意味で言うと本作の常識のない繭美も
 
最終的に変化が見られる(?)ような雰囲気ではある。
 
何にしても本作が非常に面白いと感じるのは
 
小気味良い会話のやり取り。
 
私が伊坂作品を好む最大のポイントだ。
 
これはこれで完結してもいいのだろうが、
 
この二人の関係性は
 
違う形でもいいので読み続けたい気がする。
 
 
☆☆☆☆☆