2256年・・・
宇宙旅行・・・惑星間の交友や貿易。
新たな銀河系からの来客・・・過去の人類はそのような夢を抱いていただろうが、現実にはそんな事は無い。
いまだに廃棄物の問題、公害、資源の枯渇など様々な問題の多くは不の遺産として残されていた。
だが、決して進歩が無いわけではなかった・・・・
ゴミの量は多少減り。
今まで自然では分解できなかったものを分解するバクテリアの発見。
何より人類の長年の夢、人型ロボットであるアンドロイドを完成させていた。
ネットワーク経由での情報を共有し、いかなる状況下に置いても最良な判断をする事ができ、人類のパートナーとして徐々に浸透して行った。
そしてつい数年前・・・世界を脅かすようなサイバーテロが起こったのだ。
それ以降、アンドロイドがネットワークに接続すると、まるで自我に目覚めたかのような行動をとるのだ。
しかし、故障や暴走といった害は無く、むしろより人間に近い存在になっていったのだ。
それまでのアンドロイドは、命令を事務的にこなし、マスターにはいっさい逆らわず、便利でこそあったが、面白みは無いものだった。
果たして・・・アンドロイドに自我は必要なのだろうか?
アンドロイドは、マスターである人間の命令に従っていればいいのでは無いのだろうか?
ただ僕が考える事は、アンドロイドにある自我は・・・・本当に『自我』と呼べるものだろうか?
もし、そうだとしたのならば・・・あんどろlhk;drこw@!dl


「マスター、根詰めすぎですよ!ホラホラお茶でも飲んでなさい。」
そう言ってキーボードを引っぺがされてしまった。
「うぐぐ・・・レポート提出しないと大学卒業できないんですよ!」
キーボードを取り返そうとするも、それは不可能だった。
汎用アンドロイドAGR-023の仕業だ。
運動性がよく、運動音痴な僕では太刀打ちできないのだ。
仕方なく、僕は出されたお茶をすすった。
確かにちょっと疲れていたのかもしれない、目の焦点がいまいち合わない。
「そのお茶にはプルーンが入ってるから目にもいいんだよ。」
「へー、そうなんだ。さすがアンドロイドはデーター豊富だよな。」
そういってイスの背もたれをギコギコと鳴らしていた。
不意に、体が重力の束縛から解き放たれた。
いや、この浮遊感は。転ぶ間際だ。
僕はこれから来る決定的な痛みを伴う未来を覚悟した。
・・・が、その未来は来なかった。
「大丈夫ですか?マスター。」
「あぁ、ありがとう。さすが新型アンドロイドだ。」
そう言うと先ほど予想した未来が訪れた。
アンドロイドが、椅子から手を離したのだ。
いや、正確には床に叩きつけたのだろう。
「マスターが悪いんですよ?いつまでもアンドロイドって呼ぶからですよ!ちゃんと名前を貰っているんですからそれで呼んでください。」
そう、人は何にでも名前を付けたがるもの・・・このアンドロイドにも名前があるのだ。
「いてて、わかったよ。これからはミリアって呼ぶよ。しゃくだけどね。」
「えー、しゃくってなんですか?」
「人間がアンドロイドの言う事に従うのがしゃくなんですよ。」
それを聞いてミリアはほっぺたを膨らましてそっぽを向いてしまった。
やれやれ、やっぱり自我ウィルスはおもしろい。
自我ウィルスと言うのは僕が勝手に付けた名前だ。
しかしこの自我ウィルス、不思議なものでアンドロイド毎に違う性格をインストールするようだ。
従順な性格も破天荒な性格もある。
兎に角いろんな性格で、ミリアに入ったのは、我侭なタイプだろうな・・・
「で、今日は買い物に行くって約束は忘れてませんよね?」
「料理の材料ぐらいミリアに任せます。」
だがこいつは言い出したら頑として聞かない。
明らかに不満そうな顔をして腕を引っ張っている。
「わかった、わかった。行くからちょっと保存だけさせてください。」
ミリアはニヤニヤ笑いながら腕を放した。
その反動で僕はまた転んだ。
今日もアンドロイドの言いなりか・・・・まぁそれはそれでいいか・・・・

続く