あの日、あの時、あの場所で
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図書館

君は本当に本が好きだったね。



僕も一週間に2冊は読んでいたけど、君のような読み方はまねできそうにもないよ。










2回目のデートの待ち合わせのとき、君は上野美術館の入り口の階段で絵本を読んでいたね。




たしかペリカンの冒険の話しだったと記憶しているけど合ってるかな。




僕を見上げたとき、その話しに出てくるキツネに僕が凄く似ているといって君は笑ったね。





まあたしかに似ていたけど。あんなに痩せてたかな?







君は本当にやさしい顔で笑ったね。




よく僕が、君は笑うと目がなくなるね とからかった時も目をなくして怒っていたね。








美術館を出た後、君は急に武蔵野図書館に行こうといいだしたね。











まあ僕にとっては君といられるだけで幸せだった、、、、、実際。















古い本の匂いを嗅ぐと落ち着くと君は言っていたけど、最近僕はその匂いを嗅ぐ度、君を思い出します。












君は両手に抱えきれないほどの本を持ってきて大きな机いっぱいに並べて、こんなに読みたい本があるといって笑ったね。







君は本当に一度読み始めたら止まらなかったね。  僕は、本に嫉妬したよ。











君から借りていてまだ読んでいない本がまだいっぱいあります。











僕の部屋の本棚は難しい本でいっぱいだ。。。。。。















初デート

君と出会ってから2週間が過ぎました。

メールがあまり好きじゃない僕の為に、君はなるべく電話で話そうと言ってくれたよね。


12月17日、朝から霜が降りる寒い朝に君は、急に電話をくれて映画に行こうと誘ってくれたね。

なぜ日付まで覚えてるか知ってる? 

実は、誘ってくれたことがすごく嬉しくて電話の後、部屋のカレンダーに映画と書いたんだ。舞い上がっていたよ。



君の見たかった映画はとてもシリアスで僕は正直とても眠たかったことを思い出します。




お昼に食べたオムライスに君は、ピーマンが入っていないと少しふてくされていたよね。

あれ、、、ピーマンでよかったよね?ニンジンだっけ? ごめん、あんまり覚えていない。




夕方の渋谷で、僕が勇気を出して君の手をにぎった時、君は笑顔でにぎり返してくれたね。



君の笑顔を見たとき、僕は本当に君のことが好きなんだと思いました。






六時から友達と会う約束をしていた君は、申し訳なさそうに、「またね」 と言ったよね。

僕はあの時ほど「またね」の響きをかみ締めたことはないよ。





その日の夜、普段はあまり書かないような長いメールを僕は君に送った。




少しよそよそしいほど丁寧に書いた文章を君はどんな思いで読んだのかな?




メールってさ、送信した後に文章を直したくなるよね。だからあんまり好きじゃない。




でも君の返信メールの内容は今だによく理解できないよ。





改めて変わった子だなと思いました。


続く

あの日、あの時、あの場所で

2005年冬、僕は長野にいた。



2年前の冬以来だ。



あの日を境に僕の人生はなだらかなカーブを描いている。



君が死んだ日。最愛の人を失った日。心に穴があいた日。








君との出会いは3年前の冬だったね。


道の真ん中で君は一生懸命、指輪を探していた。


スーツが濡れることも気にしないで、雪の中に手を伸ばしながら。



僕が声をかけた時の君の顔、僕は一生忘れないよ。



1時間二人で探したけど見つからず、なにげにポケットに手を入れた時の君のはにかんだ笑顔。


少しうつむいて ごめんなさい、ありました って差し出した手のひらには、銀色の綺麗な指輪がのっていたね。



その日僕は東京から出張で取引先の会社に行く所だった、時計を見ると約束の時間10分前であわててタクシー乗り場に向かう途中、君はすごく大きな声でありがとうございますと叫んだね。



少しかわった子だなと思ったよ。





まさか帰りの新幹線で隣同士になるとはこの時は考えもしなかった。








大きなバッグを持って遠慮気味に隣に座った君は、僕の顔を見て本当に驚いた顔をしたね。


多分君の倍以上僕も驚いたけどね。なんでかな、凄くドキドキしたのを憶えています。


東京までの数時間、君は溜めていた水が溢れるように話しつづけたね。


お母さんの形見の指輪のこと、東京で就職が決まるまでのこと、小さい時の家族旅行で迷子になったこと、コカコーラよりペプシコーラが好きだということ、スノーボードが得意だということ、


僕はずぅーっと相槌ばかりでなにも話せなかったね。


連絡先を交換して東京駅で別れたけど、5分後に君は電話してきたね。そういえば名前なんですか?だって。




正直この時すでに、僕は君のことが好きになっていたよ。










この出会いから、君と僕の1年間が始まった。







続く