こちらも以前に報告した「綱島・諏訪神社」と同様にすばらしい出来映えの子取りワンコです。


一級品のブッ犬って、台座からしてもう一流品ですね

奥付彫りを見ると「天保八年・飯嶋吉六」で諏訪神社の石工さんと同一で、コチラの方が四年ほど古いものと分かります。

  
ちょっと分かりづらいのですが「鶴見橋  石工  飯島吉六」と刻まれています。
この時代、一般の町民には苗字が許されていないはずなので、この人は庶民ではなかったのかも・・・


 たった四枚の写真ではこの犬たちの素晴らしさをお伝えできませんが、なによりそれぞれの表情に個性があっていつまでも見飽きるということがないのです。また、彫りの技術が頭抜けていて、その透け細工の凝り方はボクが観たものの中では最高で、この吉六という人がいかに優れた技巧とセンスの持ち主かが分かります。


母親は女性らしくお顔の大きさなど一回り小さく仕立てて
雌雄を明確にしてあります、髪の毛のウェーブなども
断然こちらの方が豊かで優しい削り方



なんという芸の細かさ、生えたての犬歯が可愛っ!

この母を見上げる表情で充分泣けました
小さな右手をここに乗せたことで、この子の腹下はすべてさらって透けています
1837年、電気も動力もないその時代に
吉六さんの驚異的な彫刻技巧でこの犬たちは誕生いたしました


生息地:神奈川県横浜市港北区日吉本町2-25-5

駒林神社狛犬の評価
●狛犬としての仕事ぶり度 ★★
(どちらかというと子育て中心か、まぁ、子どもが小さいうちは仕方がない)
●狛犬としての個性度   (この「吉六」さんという人の作品はその有機的な曲線が特に素晴らしく、それが腹の下まで回り込んでいてすごい透き加減で削り込んでいきます
●癒され指数       (吽母に甘えて見上げる子、どうしてこんな愛らしいポーズを考えつくものなのか、吉六さんにぜひ聞いてみたい!)
●思わず笑っちゃう度   阿父に付いている子の口元から見える生えたての「犬歯」、こんな細かい芸を見せられたら誰だって微笑んじゃうでしょう)
●奉納日 天保八年二月(1837年)※この年、初めてアメリカの軍艦・モリソンが浦賀に入港してきたんで、追い払おうと大砲をぶっ放したんですね、徳川幕府は。まずは話くらい聞いてやってもよさそうなものなのに・・・。
●作者名 飯嶋吉六
●撮影機材 コンタックスTVS