第3の男からの続き

 

 

ナミさんと「ガス抜き」がてらの話し合いをした結果、少なくとも元妻ユリの再婚相手、ユウヤさん(仮)(まだ疑いが完全に晴れたわけではない)は、多少冷静になって話ができるようになった様子で、僕との直接の対話を希望してきたので、僕も同意して彼との会合に出かけることになりました。

 

 

 


2016年10月某日

 


僕らは都内某所で落ち合いました。

 


正直、いまだお互いに対する疑惑や怒りというのは水面下に沸々としており、一緒に仲良く飲んだり食事をしたりという気分ではなかったため、僕らはとりあえずコーヒーでも飲むことにして、カフェに入りました。

 


どこから始めようか、と思案していた僕に、席に就いたユウヤがまず、今の状況についての愚痴を言い始めました。

 


「正直言って、厳しいです。経済的なことだけじゃなく、裁判がらみでユリとのケンカも増えて、毎日気持ちが落ち着くこともない・・・」

 

 

 

ユリとケンカを良くしているらしい、とは、間に立ってくれていたナミさんからも少し聞いていたのですが、いきなりユリとケンカが多いと僕に言い出したユウヤさん(仮)に、僕は一体何を狙いとしてこいつはこんなことを言い出しているのかと、多少身構えました。

 

 


「そういうケンカをカイトに見せてしまっていて、カイトも多分かなり不安に思っているんだろうと思うと、かわいそうで・・・」

 

 


え。

 

 

僕はユウヤをしみじみ観察しました。

 

 


「ユリだけならともかく、カイトをかわいそうな目に遭わせてはいけないと、私もなるべく言い争いにならないようにしてるんですが、それで結局一人でかなりストレスをため込むことになって・・・」

 

 

 

 

完全に愚痴なんだけど、まとめると彼は、

 

 

 

義理の息子のカイトをかわいがってくれているらしいのは本当

 

 

 


世の中には義理の父親だとか内縁の夫だとかに虐待される子供のニュースが多いので、僕もユウヤに対して疑いの目を持っていた部分がありました。

 


そもそも、こいつにそそのかされてユリも離婚届出したんじゃないかとか、法外な和解金を吹っ掛けてきたんじゃないか、とか。

 

 

 


だが、しかし。

 

 

 


今目の前のこいつは、今のところ判断するに、

 

 

 


カイト(と自分)の行く末を心から心配しているのは本当

 

(そして、かなり自分は被害者だと認識

 

 


らしい。

 

 

まあ、「カイトがかわいそう」って言ったら僕がおとなしくなると踏んでのことかもしれないが、少なくともカイトをかわいがっているという部分は本当のように見える。

 

 

 

 

ふむ。

 

 

 

 

僕はとりあえず相槌を打ちました。

 

 


「まあ、正直訴える僕の方も相当しんどいですから、どこから訴えられるかわからない方はもっとしんどいだろうというのはわかります。でも、それも全部、ユリがしてきたことの結果ですから・・・」

 

 


「Dragonさん」

 

 


ユウヤは僕にまっすぐ尋ねました。

 

 


「あれは、本当なんですか? 

 

離婚届を書いたのはDragonさんじゃないって話。

 

ユリはずっと、Dragonさんが酔って書いたものだって僕に言ってますけど」

 

 

 

ナミさんから、ユウヤのその疑惑の話も聞いていた僕は、裁判所に提出していた証拠書類の1つ、離婚届の署名の筆跡鑑定の結果をユウヤに見せました。

 

 

それは、

 

 

「その署名はDragon氏が書いたものではない可能性が高く、また筆跡の癖から見て、日本語(漢字)をよく書いていると思われる人物が書いた署名(署名自体は英語)と推察される」

 

 

というような内容のものでした。

 

(僕は普段、手で漢字を書いたりすることはほとんどないし、ユウヤもそれは知っています。)

 

 

 


「これ、見たことありますか? 裁判所に提出した僕からの反論につけた証拠なんですが」

 

 

「いえ・・・」

 

 

 

ユウヤは黙ってその鑑定書を読みました。

 

 

 

僕はユウヤに説明しました。

 

 

 

何度ケンカをしても、日本では離婚したら子供に会えなくなると人から言われていたから、カイトのために絶対に自分から離婚届にサインしようとは思っていなかったこと。

 

 

酔って書いたというのなら、具体的に署名をしたのはいつ頃だったのか。

何度聞いてもユリは、これに関してははっきりした時期を言えないでいること(僕の仕事は海外出張が非常に多いのです。いい加減な時期を言って、もし僕が日本にいない時だったらユリのウソがばれてしまう。だからユリは、僕が書いたとしながらも、いつ書いたのかははっきり言えないのです)。

 

当時僕は日本国籍でなくアメリカ国籍(今は日本国籍)だったから、日本人のユリの配偶者ビザで日本で住み、仕事をしていました。

いきなり離婚したら、仕事にも影響する。

そんなことを、例え酔ったとしても、勢いでするわけないこと。

 

 

 

ユウヤは頷きながら僕の説明を聞きました。

 

 

 

 

そしてそこから、ユウヤの中で、今までずっとユリを信じてはきたけれど、どこかでは「何かおかしい」と思っていたいくつもの争点について、初めて男同士の答え合わせが始まったわけです・・・。

 

 

 

 

 

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