和解成立後⑫ 新たな展開の予感からの続き

 

「は~、寒かった。こんにちは、お久しぶりです。今日は風が強いですね!」

 

ミユキさんはバタバタと足音を立てながら、僕のオフィスに入ってきました。

 

ミユキさんがこちらにとって味方になる人なのか、あるいは敵から送り込まれて来たスパイなのか、さっぱり読めなかった僕は、とりあえず周りに人がいないところで話を聞いた方がよさそうだと思い、自分のオフィスまでミユキさんに来てもらったのでした。

 

「すいません、わざわざ来ていただいちゃって。場所、すぐにわかりましたか?」

 

「うん、大丈夫。たまたま今日はこの近くまで来る用事があって来ていたから、むしろ都合よかったんです」

 

そう言いながらミユキさんは椅子に腰かけ、僕が淹れた熱いコーヒーを一口飲み、ふーっと息を吐きました。

 

最後に顔を見たのは、僕らがまだ家族で一緒に住んでいたころだから、4年前。

その頃も、天気の話以上の親しい話を直接した記憶はありません。

 

その人が何故、一体、何の話がしたくて、突然僕に電話してきたのでしょう。

 

「びっくりしたでしょう? こいつ、なんでいきなり来たんだろう、って」

 

どう話を切り出そうかと思っていた僕に、ミユキさんの方から尋ねてきました。

 

「まあ、びっくりはしましたね」と、苦笑いする僕。

 

「正直ね、もうずっと何年も考えていたことだったんです。これはDragonさんに伝えた方がいいって。
 でも、ほら、離婚届をユリちゃんが勝手に出しちゃったりしてね、お2人、別居されたじゃないですか。そうしたら私には、Dragonさんの住所も電話番号もわからないし、もう、しょうがないのかなぁ、どうしようかなぁって、何年も考えてたんです」

 

「はい」

 

「でもたまたまこの前人と話してて、人の名前をインターネットで検索するって話から、ふとDragonさんの名前を検索してみたんです。そしたら、すぐにDragonさんの会社が見つかって、こんな簡単なことだったんだ、って、そのまま勢いでお電話しちゃったんですよ。

 ずっとこんな気持ちで生きていくぐらいなら、さっさとお伝えして楽になろう、って」

 

「それは一体、どんな・・・?」

 

ミユキさんは、どこから話したら、といいたげな顔をして、軽く眉間にしわを寄せました。

 

「あのね、ユリちゃんとユウヤ、いるじゃないですか。知ってますよね、ユウヤの事?」

 

はい、と僕は頷きました。

 

「彼女とユウヤ、ずっと前から付き合ってたんですよね

 

「ずっと前? ずっと前って、カイトが生まれてすぐとかってことですか?」

 

「違う違う! カイトくんを妊娠する前から。それで、彼女、カイトくん妊娠する前に、一回Dragonさんと真剣に離婚するとか言って、騒いだことあったでしょう?」

 

「・・・ありましたね。まあ、でも、なんだか途中でうやむやになったから、僕としてはいつものヒステリーだったのかな、って思ってました」

 

「あの時ユリちゃん、弁護士事務所に相談しに行ったんですよ。そうしたら、子供もいないし、結婚している期間も10年未満だし、別にDragonさんが有責というわけでもないから、離婚してももらえるのはせいぜい100万ぐらいだろう、って言われたらしくて」

 

「はあ」

 

「そうしたら彼女、なんて言ったと思います? 『子供いたらいいんだ。じゃ、Dragonの子供作ればお金貰えるんだね』って。もうユウヤと付き合ってたのに、ですよ?」

 


・・・・・・・・・・・え?


続く

 

 

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