20160106_091536.jpg

 

 

今でも 時折 思い出す・・。 あの猫は あの後・・・

どうしたのだろうと・・・。

 

記憶の片隅に その子は いつもいる。 時折 思い出しては 切なくなる。

 

あれは もう10年以上も前だったと思う。  ふと会社の倉庫の前の 

土のう入りの砂袋の上に 何かがいた・・・。

 

えっ? 何? 何でこんな所に? 一体 どこから? いつ入って来たんだろう?

 パッと見て 猫だと・・・・気が付けなかった。  

 

えっ?・・・・・・・・・言葉を失った。

 

なんだ? この顔・・・。それは もう猫の顔ではなかった。

どうしたの? 誰かに やられたの? 大丈夫だよ。 逃げないで 

何もしないからね。 

 

まるで 火傷したように見えた私は 悪い人間に 悪戯で ライターか何かで 

虐待されたのではと思ってしまったのだ。

 

 

 

IMG_20160808_084656966.jpg

 

 

 

自分の中の 何かが 感じた。 あぁ この子・・・・もうすぐ・・・・・。

 

この顔では 誰も ご飯をくれなかっただろう。  

心無い人は 気持ち悪い あっちへ行けと言っただろう・・。 

 

あぁ せめて せめて 命あるうちに お腹いっぱい 食べさせてあげたい。 

ただ ただ そう思った。 無責任と言われても仕方がない。

 

急いで 猫缶を買って来た。 カリカリではなく 猫缶なら水分補給にもなるかも・・・。第一 食べられる状態なのかもわからなかった。

 

必要以上に近寄ると ヨロヨロと 起き上がり 逃げようとする。 

『 怖かったね。 辛かったね。  大丈夫だよ。 酷い事なんかしないからね。』

 

そう声をかけ 猫缶をそっと側に置いた・・。 ヨロヨロしながら 食べた。 

嬉しかった。 まだ 食べる? お腹空いていたんだね。 また 1缶 与え ・・ 3缶近く食べた。

 

 

 

20151013_091358.jpg

 

 

 

『  お腹いっぱいになった?  そこでゆっくり眠りな。 また明日ね 』 

寒くはないだろうかと 事務所から いらない毛布を置き 寝場所を作った。

 

翌朝 気になって いつもより早く 出勤したが・・・あの子は いなかった。 

どうにも こうにも気になって 会社の付近を 探したが・・・いなかった。

 

後にわかったのは あの子は 火傷ではなく 疥癬だったのだ。 それは 

疥癬の末期の画像と同じだった。

 

どれだけ痒かっただろう。 どれだけ 辛かっただろう。 

どんな環境の中 必死に生きてきたのだろう。 

 

疥癬なんて 知らなかった。 ごめんね。ごめんね。

 

今でも あの子のあの顔を 忘れられない。 

結局 何も 何もしてあげられなかった。 

 

保護しようとか あの時は 何も考えられなかったのだ。

 

今となっては あの子がこの世に生を受け 必死に生きた証が 私が あの子を 

忘れない事なのだと思う。  

 

今度 生まれ変わったら いっぱい いっぱい 愛されて 幸せになるんだよ。

 

神様・・・・ あの子の魂が 優しい愛で 包まれますようにと・・・・

願うばかりだ。