※未来リョ桜
※子供小3くらい。
***
ピカッ
ゴロゴロゴロドシャーンッ!!
「きゃああっ!」
日がすっかり暮れた頃。
越前家のリビングでは、先程から桜乃の悲鳴が響いていた。
今日は夕方から雷が鳴っていた。
当然だが、リョーマと晴弥はそれくらいでは全く動じないし
葵に関しては楽しんでいるようにも見える。
しかし怖がりな桜乃だけは、雷が鳴るたびに悲鳴をあげていた。
リョーマからすればそれが可愛く見えるらしい。
葵が桜乃の側に寄り、頭をヨシヨシする。

「ママぁ、大丈夫ー?」
「ありがとう、葵ちゃん。」
微笑ましく見えるが、本来ならば逆である。
しかしそれが越前家では当たり前な光景となっていて、
そこにいたリョーマも晴弥も特に気にすることはなかった。
葵が時計を見て、テレビの前に駆け寄った。
「コナンくんの時間だーっ。」
その時だった。
ピカッ
ゴロゴロゴロドシャーンッ!!
"バチっ"
「きゃあああっ!!」
「うー?」
雷が鳴り響くのと、桜乃の悲鳴があがるのと同時に
停電したのである。
「真っ暗で何も見えないよー?」
「葵、危ないから動いちゃダメだよ。今俺がそっちに行くから。」
晴弥が葵の側まで行き、手を繋いであげる。
それは葵を安心させる為の行為ではなく、
葵が真っ暗なのを面白がって家中を走り回るのを事前に防ぐ為の行為である。
暗い中走り回って転んで怪我されたくない、という気持ちもあってのことだが。
雷の光だけが部屋を照らす中、
「きゃあっ!?」
桜乃の悲鳴が聞こえた。
だが雷が鳴るタイミングとは違い、悲鳴も怖がってるときとは何か違った。
「母さん!?」
晴弥が呼びかけるが返事が聞こえてこない。
それにリョーマが何も言わないのも不自然だ。
普通なら、1番近くにいるリョーマが真っ先に心配するだろうに…。
(……嫌な予感がする………)
晴弥がそう思ったとき、部屋の電気が漸くついた。
そこで晴弥が見たもの……
晴弥の予感は的中した。
「何やってんだよこの馬鹿親父ッ!!」
「イテっ!何すんの!?」
晴弥はリョーマを足蹴にした。
晴弥が見たもの、それは……
リョーマが桜乃を押し倒し、唇を塞いでいるところだった。
「どさくさに紛れて母さんに何してるワケ!?サイテー!!」
「人をケダモノみたいに言わないでよね。桜乃が怖がってるから、気を紛らわせてあげようとしてたんじゃん。」
「嘘つけ!!」
リョーマと晴弥が言い争ってる中、葵はテレビのチャンネルを変え、お目当てのアニメを見ている。
どこまでもマイペースである。
桜乃はというと、リョーマと晴弥の言い争いを聞いていて漸く我が身に起こったことを理解したらしい。
顔を真っ赤にしている。
その時、また雷が鳴り響いた。
ピカッ
ゴロゴロゴロドシャーンッ!!

「きゃあああっ!!」
「っ!!////」
桜乃はリョーマにギュッとしがみつき、涙目になりながら震えている。
普段、桜乃からリョーマに抱き着いてくることは滅多にない。
リョーマはこの状況に平常心ではいられなかった。
(やばい、かわいい…///)

「リョーマくん……っ」
「ッ!!!////」
涙目になりながらの上目使い。
リョーマの理性を掻き乱すには充分すぎた。
「桜乃っ!」
「きゃあっ!?」
リョーマは桜乃を押し倒した。
(なるほど……さっきもこうなったワケね…)

「いい加減にしろッ!!」
晴弥、本日2回目の蹴り。
「いったいなぁ!!」
「子供の前で…ッ何考えてんだよ!!」
「いいじゃん。夫婦なんだし。」
「良くないッ!!」
「パパたち何してるのー?」
「葵は俺の分までコナンくん見てて!!」
「分かったぁー♪」
こっちの様子を伺ってきた葵を慣れたように引き返させる晴弥。
桜乃は雷のことも忘れて、リョーマと晴弥の言い争いをハラハラしながら見ていた。
「親父サイアク…!」
「桜乃が悪いんだからね、桜乃が誘うから…///」
「母さんに責任転嫁するな!」
「へぇ~晴弥そんな難しい言葉知ってんだ?」
「話を逸らすな!!」
雷が鳴り止んでも、晴弥とリョーマの言い争いは止みそうにはなかった。
――End――
【8/11~12完】
雷音のレパートリーの無さ(笑)←
このネタは、
「越前家が停電したらどーなるんだろう?(゜∀゜)」という、
前フリもなく浮かんだ疑問から生まれた妄想です。
結果このようなことに…(笑)
これ、色々…セーフ?←
案外オチがつかめなくて困りました~。
頭の中で浮かんだ内容を文章にするのって案外大変ですね。
いつも僕が書くリョ桜小説は
最終的に予定とだいぶ違う方向にいっちゃうのですが…(笑)
今回はほぼ予定通りです。
故に難しかった!
これがしたいんだ!
これが言いたいんだ!
これをどう表現したらいいんだーって感じで…( ̄▽ ̄;)
それにしても未来リョ桜、
ネタが次々に浮かびます(笑)