※未来リョ桜
※子供小3くらい。
***
本日、越前家は揃って美容院に来ていた。
奇妙な光景ではあるが、
両親が子供2人の散髪に付き添いで来ていると考えれば、
それは自然なことであろう。
しかし、今日髪を切るのは桜乃と葵の2人だ。
あとの男2人は先日髪を切ってきたばかりである。
リョーマと晴弥が見守る中、
桜乃と葵はそれぞれ担当の美容師にシャンプーをしてもらいに店内の奥へと行った。
もちろん、担当は女性だ。
他の男に嫁と娘の髪の毛を触らせるなど、リョーマが許さない。
晴弥はそんな父親の独占欲に呆れながらも、
(親父の気持ちも分からなくはないけどね…)
といった心境だった。
やはり晴弥もリョーマの子。
他の男が母親と妹の髪の毛を触っているところは見たくない。
つまり男2人は、付き添い兼見張り役といったところだ。
桜乃が先にシャンプーを終えてきた。
鏡の前に座り、美容師と髪の毛をどれくらいの長さに切るか相談している。
そこへ、少し離れた場所からリョーマが声をかけた。

「桜乃、俺は長めの方が好きだなっ。」

「えっ………あ、じゃあ、あんまり切らずに毛先を整えるくらいでお願いしますっ///」
顔を赤くしながら美容師に注文をする桜乃を見て、満足そうにしているリョーマ。
そんな両親を横目で見て、晴弥は静かに溜め息をついた。
(恥ずかしくないワケ?このバカラブ夫婦は……)
すると次は葵がシャンプーを終えてきた。
子供相手にも丁寧な接客をしている葵の担当は、新人美容師のようだ。
美容師と葵が楽しそうに会話をしている。
「へぇ~葵ちゃんはサッカーが得意なんだぁ!すごいねぇ!」
「だからね、葵ね、サッカー部に入るのー!」
「そっかぁ~じゃあ葵ちゃんはかっこよくバッサリと短く切っちゃおうか?」
『ダメーーーッ!!!』
男2人の声が店内に響く。
珍しくリョーマと晴弥が声を揃えて、美容師の提案を全力で否定した。
「ダメ!葵は長さキープ!!」
「親父、英語じゃ駄目だよ!伝わんないよ!葵は長さ変えちゃダメだから!!」
「分かってる!?葵の三つ編みがかかってんだからね!!」
「美容師さん!母さんみたいに毛先だけ切ってよ!!」
「えっ?えっ!?;;」
突然自分に向けられた必死の否定に戸惑う新人美容師。
リョーマと晴弥も持ち前の冷静さを失い、身を乗り出して意見をぶつけている。
店内の視線はみんなリョーマと晴弥に釘付けだ。
すると葵が口を開いた。
「パパと晴ちゃんがそんなに言うなら、葵長いのがいいー!」
「か、かしこまりました…ッ」
新人美容師は先程より更に丁寧に葵に接客をするのであった。
その様子を見て胸を撫で下ろすリョーマと晴弥。
しかし身内の騒ぎを間近で見ていた桜乃はそんな2人を叱る。
「もうっ!2人とも急にどうしちゃったの!?大きな声出しちゃお店の人にもお客さんにも迷惑でしょ?ちゃんと大人しくしててね?」
『……は~い…』

桜乃に叱られた2人は、素直に大人しく椅子にかけて待つのであった。
それを見ていた周りの客が胸をときめかせていたことを、
リョーマたちが知ることはなかった。
暫くして、散髪を終えた桜乃と葵が戻ってきた。
2人とも髪の長さはあまり変わっていないが、
全体的に軽くなっていて綺麗に整えられている。
葵に関しては、可愛らしいヘアゴムで三つ編みまでしてもらっている。
数時間前とは少し雰囲気の違う2人に、思わずドキッとするリョーマと晴弥。
「桜乃、かわいい…///」
「あ、ありがとう、リョーマくん……っ///」

「ねぇ晴ちゃん、見て見て!三つ編みにしてもらったのー♪」
「ふーん、良かったじゃん。」
「かわいい?vv」
「はいはい、可愛いデスヨー」
「晴ちゃんテキトーに言ってるー!心がこもってないー!」
(いつまでやってるんだ……このバカラブ一家……)
どっかでそんな、晴弥みたいなツッコミが聞こえたとか…。
その日の越前家の団欒。
夜、家族4人でテレビを見ているときだった。
「ねぇパパぁー」
「ん?」
「どーして葵は髪の毛短くしちゃダメなのー?」
「……葵にはもっと髪の毛長くして欲しいからね。誰かさんの中学時代みたいに。」
「ふーん?」
「母さんバカってことね…」
「へ?」
「そういう晴弥こそ、なんで葵が髪短く切るの嫌がったの?」
「……俺もちょっと興味あるからね、中学時代の母さん。」
「ふーん。」
「リョーマくんも晴くんも、何の話してるの?」
「ナイショ。」
『???』
ハテナを浮かべて顔を見合わせる桜乃と葵。
だけど……
(こんなに仲良しなリョーマくんと晴くん、珍しいっ♪)
そんな風に2人を微笑ましく見つめる桜乃であった。
――End――
【8/9~8/10完】
僕の文才の無さで分かりづらかったと思いますが…
つまり2人は葵ちゃんに、
中学時代の桜乃ちゃんと同じ髪型をしてほしいワケです。
中学時代の桜乃ちゃんを再現させたいワケです。
このネタはちょっと前からありまして、昨日からせっせと書いておりましたっ。
イラストも…真夜中ににやにやしながら描き描き(笑)
ね、眠い…(ρд-)zZZ
小説は午前中に完成したのですが……いつの間にか小学生になってたな、双子(笑)
あーランドセル背負わせたいー!!←
実はもう…中学生編も考えてあったりする(笑)