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この日は、たまたま天気予報が外れた。

下校時には雨が降っていた。





今はテスト期間中なので、部活動はどこもやっていない。
桜乃は委員会で居残っていたので、他の生徒達より少し遅い下校となった。

委員会の仕事を終えた桜乃は、帰ろうと昇降口まで行くと
雨はまだやみそうな気配もなく、降り続いていた。


「置き傘持ってて良かった~」

鈍臭い桜乃にしては準備が良かった。
女の子らしい、ピンク色の折りたたみ傘を鞄から取り出す。
そこへ一人の少年がやってきた。

「あちゃ~っ。雨やむ気配ないなーこれは」

それは同級生の堀尾であった。
彼もきっと何か委員会の仕事で居残っていたのだろう。
外の雨を見て困ってる堀尾に、桜乃は声をかけた。

「堀尾くんっ」
「おう、竜崎じゃん!」
「今帰り?」
「まぁな。お前も委員会かなんかで居残りしてたのか?」
「うん」
「ったく、テスト期間中に委員会なんてやってたら、俺達だけ勉強する時間なくなるよな!?先生達も何考えてんだか。」
「あははっ…」


愚痴る堀尾に苦笑いで返し、桜乃は別の話題を振る。

「それにしても、今日は天気予報外れたねぇ」
「そうなんだよ!今日俺傘持ってきてねぇから、帰りどーしよっかなって困ってて…」

思い出したように困った表情で桜乃に語りかけていた堀尾は、桜乃の手元に何かを発見した。

「いいなー竜崎!置き傘あんのかよー!」
「あ、うん。今日はたまたまだけどね」
「…竜崎今から帰るんだろ?」
「え?うん……?」
「…………竜崎!頼むっ!今日だけ一緒に入れてく…れっ!?」

堀尾が桜乃に両手を合わせてお願いをしていると、何かで頭を強く殴られた。

「いってぇぇ~~っ!」
「堀尾くん、大丈夫っ!?」

堀尾が涙目になりながら振り向くと、そこには見慣れた少年の顔があった。

「越前!?お前なぁ~っ!」
「リョーマくん!」

桜乃がふとリョーマの手元を見ると、青色の折りたたみ傘があった。
きっと彼自身のものだろう。
リョーマは先程堀尾の頭を殴るのに使ったソレを、堀尾に手渡した。

「あ?」
「それ貸す。」
「え、いいのか?お前は?」
「俺はもう一本傘持ってるし」
「越前……お前って案外優しいヤツなんだな!!」
「………」


思わぬ友の親切を受けて、目をキラキラさせて感動している堀尾であったが。
また何か思い出したように堀尾は声を張り上げた。

「あっ!!」
「…うるさい。」
「こんなことしてる場合じゃなかった!今日はドラマの再放送が4時半からやるんだよっ!てことだから悪いけど越前、傘借りてくな!じゃあなっ!」

そう言うと、堀尾はリョーマの折りたたみ傘をさして雨の中を駆けていった。
残された二人の間に沈黙が流れる。
暫くして沈黙に耐え切れなくなった桜乃が口を開いた。


「…………そ、それじゃあ私もそろそろ帰るねっ」

靴を履き変え、ピンクの折りたたみ傘を広げて歩き出そうとした瞬間。
後ろから三つ編みを引っ張られた。

「ふぇっ!?」


後ろに倒れそうになった桜乃をリョーマが支えた。
三つ編みを引っ張ったのはリョーマである。

「俺も入れて。」
「え?」
「傘、持ってないんだよね」
「え、さっき持ってるって…」
「堀尾に貸したし」
「もう一本傘持ってるって…」
「あぁ、あれ嘘。」
「え!?」

予想外なリョーマの発言に驚く桜乃。


「ほら、俺って、トモダチオモイじゃん?困ってる堀尾見てたら放っておけなくて」

普段のリョーマの口からは絶対に出てくることのない言葉だ。
しかしそんなリョーマの言葉も素直に聞く桜乃。

「それで嘘ついたんだねっ」
「そう。だから傘ないんだよね。途中まで入れてくれない?」

リョーマはそう言うと、桜乃の返事を聞く前に、桜乃の小さなピンクの折りたたみ傘へと入ってきた。

「入れてもらう代わりに俺が傘持つし。」
「あ、ありがとう…っ」

その言葉を桜乃の了承と取り、リョーマは満足そうな顔で桜乃に肩を寄せる。
突然リョーマと肩が触れ合って思わず声に出して驚く桜乃。

「わっ///」
「何?」
「あ、えと、何でもないです…っ///」
「顔赤いけど?」

そう言って顔を覗き込んできたリョーマとの距離、10cm…。
さらに顔を真っ赤にさせた桜乃は、リョーマから離れようと一歩距離をおくが、すぐに肩を抱き寄せられた。

「ちょっと…、そんなに離れて歩いたら濡れるよ?」
「…あ、うん……///」
「ほら、行くよ。」
「……はいっ///」

桜乃はリョーマに肩を抱き寄せられた状態のまま歩き出した。
桜乃の顔から熱が引くことはなかった。


暫く二人の間に会話はなかった。だけど、

(このまま時間が止まればいいのに……)

そう思ったのは、桜乃だけではなかった。
隣の少年は桜乃に気付かれないように、そっと優しく微笑んだ。







翌日。


『くしゅんっ』


二つの教室から聞こえてくる、そのくしゃみに反応を示す者がまた二人。


「桜乃、どうしたの?風邪?」
「うん……ぐすっ。風邪引いちゃったみたい、あははっ」
「笑ってる場合じゃないわよ、桜乃。今はテスト期間中なんだからぁ!早く治しなさいよ?」
「うん、心配かけちゃってごめんね?朋ちゃん」



一方隣の教室では……。


「おーい越前!昨日は傘、サンキューなっ!」
「あぁ、別にいいけど……くしゅんっ!」
「あ?風邪か?さてはお前、昨日布団被らずに寝ただろ~!」
「………さぁね。」


見当外れなことを言ってる堀尾を放っておいて、隣のクラスへ桜乃の様子を見に行くリョーマ。
廊下から教室の中を覗くと、親友に心配されながら鼻を啜っている桜乃を見つけた。

ちょっと悪いことをしたかな?と思いつつ、昨日の帰りのことを思い出して思わず顔が緩むリョーマであった。



それをたまたま見ていた堀尾。

「あの越前が笑ってる………」





――End――





リョ桜小説第3弾です☆

これ、今2時間弱くらいで書きました(笑)


・付き合う前の、両想いなことにまだ気付いていないリョ桜

ってのが書きたくて。
そんでもって今日が雨で。
今がテスト期間中で(笑)

相合い傘で帰るリョ桜が書きたいなーっとvv(*´∀`)

そしたら、メルトの歌詞に被るところもあって……w


今回は自分が書きたかったものがちゃんと書けて結構満足しています(笑)
まだまだ文章力はないですが…(^_^;)

のほほんとしたリョ桜になって……ますよね?(゜∀゜)
(←聞くな)

いつもかなり積極的なリョマなのですが、
今回はまだ付き合う前なので自重してるリョマですvv^^

こういうのなんか良い!!
好き!!(^ω^)


因みにリョマの
「俺はもう一本傘持ってるし」
は、桜乃たんのことを示しています実は☆^^

あと、
予想外に堀尾が活躍したww

相合い傘で帰った後に、
二人で風邪引いちゃうのは自分も予想外でしたww←

そりゃあ小さな折りたたみ傘に二人で入ったら濡れますよww



この土日はたくさんリョ桜りましたぁ♪^^
桜乃たん祭でしたっ♪(*´∀`)

リョ桜補給もできたので、
明日からテス勉&軽くダイエットに励みます☆(`・ω・´)b




おやすみなさーい☆\^o^/