酒とオカマと男と女 -2ページ目

酒とオカマと男と女

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昨日出勤前にあの白い犬の所に寄った…

アレ?
近くになっても聞こえて来ないガーン

………

シャッターは閉められ、周りは綺麗に掃除されていた。
シャッターの前に白い犬のゲージだけが立てかけられていた。

実はこの工場、売却が決まり二月いっぱいで引き渡しが決まっていたらしい。

ジャーキーが一本だけ残ってしまった。

何だか無性に淋しくなった。

おばあちゃんは、犬はちゃんと本社に連れて行ってもらえるから安心しなさいと言っていた。

白い犬の名はクー。
ひとりぽっちのかしこい犬。

クーよかったな!
これからはひとりぽっちじゃないな!
元気でな!
と心でささやいた。

そして、
お願いします!
本当に本社へ連れて行ってもらっています様に!
どうかお願いします!
と神様にお願いした。

不意に涙が溢れ出した。

出勤途中でいつも聞こえて来る悲しげな犬の声。

今はもう誰も住んで居ない家の一階にある工場でその犬は飼われている。
理由はわからないが、犬だけが一匹置いていかれたらしい。

白い毛並みの可愛い奴だ。

毎日毎日悲しげに鳴きつづけていて、僕は気になって仕方がない。

ある日、たまたまその近くを通ると半ば犬に引きずられながら散歩しているおばあちゃんがいたガーン

間違いないあの犬だ。

僕は近づき声をかけた。

おばあちゃんは飼い主ではなく、近所に住んでるだけの他人らしい。

おばあちゃんも僕と同じ気持ちを持って犬の世話を始めたらしい。

もう六年になるという。

飼い主は引っ越し、犬はこの空き家の番犬として残されたようだ。

時々飼い主がバケツいっぱいのフードと水を与えに訪れるだけで、後は繋がれたままらしい。

僕はおばあちゃんと一緒に散歩に同行した。

犬はとてもやんちゃだか、賢い可愛い犬だった。

その日から毎日出勤前にジャーキーを一一本あげている。

この頃ではシャッターの前で待っている。

飼い主はおばあちゃんにお礼の一言も言わないらしい。
それは腰の少し曲がった足の悪い老婆が犬の力に負けて転んで怪我でもした時責任をおいたくないからだとおばあちゃんが言っていた。

色々な飼い主が居るものだ。

犬はやっぱりいつも犠牲になる、そういう定めなのか、僕は僕の犬達は大切にしたいと改めて強く思った。
約8年一緒に暮らして来た相方(彼氏)が来る三月末で東京へ転勤が決まった。

突然の事でまだよくわからない。

でも、本当にいい奴で。

ちゃんと送り出してあげよう。