現代演出のハムレット。

冒頭の亡霊シーンでは迷彩に銃を構える衛兵。
そこにノルウェー討伐時と同じ衣装という設定で(現代服)先王登場。

場面は代わり、王宮の広間。
先ほど現れた先王と同じ服装の肖像画をバックに、
クローディアスが所信表明、ガートルードとの結婚を
記者会見風にビデオカメラに映す。そのクルーが去った後、
クローディアスは仕事を続けるが、傍らには、ウィスキーの瓶とコップ。

レアティーズのフランス帰国(留学)を認めると、
ハムレットが現れる。ハムレットもまた、留学先の
イギリスへ戻ることを願い出るが、拒否するクローディアス。

まず、レアティーズとハムレットが大学生設定なのか。
ま、留学は原作通りの気もするが。

この時点では、直ぐに再婚する母親への皮肉がある程度。
そこにホレイショーが現れ、昨夜の事を報告する。
その際、SPが何か不信そうにのぞき込む。

オフィーリアは自室で音楽を聴き、
ファッション雑誌を読む、普通の少女。
過保護な父親と兄に囲まれ、ハムレットは諦めろと告げられる。

兄は留学先に戻る準備をし(ボローニアスから小遣いを貰い)
オフィーリアは父親から先日、ハムレットと会っていた様子
を撮られた写真を渡され、動揺する。

丑三つ時、先王の亡霊と対面するハムレット。
二人で話そうとするが、ホレイショーに止められる。
その際、飛び出しナイフをだし、ホレイショーを
下がらせ、先王の後をついて行く。

そして、事の顛末を聞き、復讐を誓う。
その際にスマイルマークにvillanというモチーフを確立。
壁にそれを落書きするが、ハムレット退場後、側近により、消される。

ボローニアスが側近にレアティーズの素行調査を依頼。
ただ、その言い方や方法が大変に現代的で、完全にスパイ。
その後、ボローニアスはクローディアスとガートルードに
ハムレットの乱心はオフィーリアへの恋心からと忠告する。

ハムレットは気の狂ったフリをして、
大学での知り合い、ロズ・ギルを迎える。
二人ともスーツで、来る途中で旅一座と会ったことを聞く。

気が紛れるからと旅一座を迎えるが、
その一座はDJブースを持ち歩き、
現代的ではあるものの、座長の衣装は不変。

ある一節をリクエストするハムレットだが、
そこに居合わせたボローニアスにより、茶々が入る。

王宮の広間で寸劇を披露する事を提案。
その際、一部を変えることを座長に提案する。
一斉に捌けるなか、ハムレットだけは残り、独白。
こういうシーンでは、SPは登場せず。

ロズ・ギルの報告を聞くクローディアスだが狂った
原因は分からず、ボローニアスは恋の病の一点張り。
そして、オフィーリアに盗聴器を持たせ、
(本に隠す)ハムレットと会うようにし向ける。

ハムレットが登場し、
『To be or not To be』をサラっと。
そこにオフィーリアが登場し、
ボローニアスの策略にノリ、
『尼寺に行け』とオフィーリアに告げ、
盗聴器の存在を確認してから、去る。

劇中劇の準備中、リハーサルやライティングの
調整をしつつ、劇中劇のクローディアスの様子に
注意するよう、ホレイショーに頼む。

ただ、コレにも過敏に反応するSP。
しかし、一人になると、SPは居なくなる。
人に会わなければ、それほど関心をしめさないSP。

劇中劇開始前に、スマイルマークにvillan
と書かれたTシャツを配るハムレット。
それを普通に着てしまうオフィーリア。

劇中劇はテクノ音楽が流れる中、
王冠被った道化が、女性に会い、別の道化に
王冠を取られるというマイムが行われてから、
ハムレットオリジナルの寸劇スタート。

で、毒を耳から入れられるシーンでは、
スポットライトを座長越しにクローディアスに当てる。
その芝居を見て、取り乱すクローディアス。

そこで、一幕終了。

ガートルードに呼びつけられるハムレット。
その途中、クローディアスはブランデーを飲みながら、
懺悔をするとこに出くわすハムレット。
後ろから、殺害しようとするが、
懺悔中に殺害しても、天国に行けると独白し、見逃す。
(ココこそ、なぜSPが登場しない違和感)

ハムレットを呼びつけるが、既に酔っているガートルード。
その部屋にはクローディアスの肖像画がかけられているが、
ハムレットは財布に何時も入れている先王の写真を見せつけ、
先王との違いをアピール。その際、肖像画を叩きつけるが、
そのハムレットのいきすぎた行為に、先王の亡霊が白塗りで登場。

しかし、ガートルードには見えず、クローディアスの肖像画を
踏んで、先王の方に歩くが、それでも見えないガートルード。

あ、途中でカーテン越しに殺されるボローニアス。

ハムレットが追放。そして、イギリスに行く途中、
フォーティンブラスがポーランドを侵略し、
デンマークを表敬訪問する旨をクルーが撮影する処に出くわす。

ボローニアスの殺害された一報を聞き、
レアティーズがフランスから、クローディアスの
王位剥奪をかけて、銃を伴い、王宮に進入してくる。
この共のモノが、顔を布で隠し、現代風なテロリスト使用。

そこに、スーパーの手押し車を押してオフィーリア登場。
その中には新聞にくるまれた人形が有り、
それぞれに花に見立て、渡していく。
そんなオフィーリアが何者かに、押し込まれ退場。

クローディアスとレアティーズが、ハムレットとの決闘、
それにレアティーズ自ら、毒を用意する算段をするなか、
ガートルードがオフィーリアの自殺を、報告。
その際、一瞬、映る、オズリック(この時点でオズリック登場)

ハムレットがホレイショーと再会し、
郊外で墓を掘る墓堀と出会う。
そこに、オフィーリアの棺を伴い、レアティーズが現れる。

頑なに”自殺者”を手厚く埋葬する事に拒否反応を示す教会側。
※実はここにも、他殺疑惑の鍵が有るのかも。
そこに現れる、ハムレット。そのまま、レアティーズとの対決に。

決闘内容を伝える軍服姿の伝令・オズリック。
それまでに登場してはいたが、改めてクローズアップ。
しかし、決して、王の道化ではなく、伝令。
一応、帽子は被らず、ハムレットから絡む。

ハムレットとレアティーズの決闘。
普通にフェンシングで対決し、死んでいく流れも同じ。
ただ、その前に結構、ガートルードが酒呑みで、
毒杯を呑むのも、なんとなく納得。

その後、軍服姿のフォーティンブラスと、
ロズギルを始末した報告するイギリスの伝令が登場し、幕。


Rory Kinnear@ハムレット
ハゲレット。
大学生には見えないけど、
若いし、かと言って暑苦しさもない。
セリフが一語一語ハッキリタイプで、
まくし立てるようなタイプのハムレットでなく、
一語一語を噛みしめて、セリフを喋る。

Ruth Negga@オフィーリア
現代っ子なオフィーリア。
なので、過保護な父・兄がウザそうな
一幕なのに、二幕は普通に狂気な演技に。

ちょっと、お笑いの北陽の人に似た雰囲気。

Giles Terera@ホレイショー
黒人役者によるホレイショー。
ハムレットの友人にしては、それほど出番がなく、
ちょっと目立たない。たぶん、出番自体は脚本通りだと思うのだが。

Alex Lanipekuin@レアティーズ
更に目立たない。
クローディアス宅に踏み込む処は、
かなりスタイリッシュだったのだが、
ラストの対決まで、あまり存在感なし。

Clare Higgins@ガートルード
結構、デップリな体型。
ガートルードは細身で、クローディアスが
人妻(兄妻)でも求婚というイメージがあったため、
ちょっと普通のオバチャンというか。

でも、先王を裏切るというよりは、
クローディアスに唆された感あり。

Patrick Malahide@クローディアス
この作品で一番の悪役なのだが、
ラスボス感は薄目。とことん、悪、
というよりは、若干、小悪党気味。

David Calder@ボローニアス
今回、見ていて一番、キャラ立ち。
基本ラインは腰巾着というか、
上手く立ち回れず、殺されるのだが、
今回の現代演出に伴い、レアティーズや
オフィーリアを監視させたり、と、意外にキャラ立ち。
退場後はそのまま墓堀に。更にコメディアンに。

James Laurenson@先王と劇中王
先王はそれほどセリフもなく、
存在感で乗り切るが、劇中王がシブい。
ボローニアスが途中で茶々をいれるが、
大人しく観てろよ、と言いたくなるくらい熱演。

そのまま劇中演技に移るが、
クローディアスが退場してしまい、
最後まで演じられず、折角、セリフを覚えたのに可哀想に。



リア王に引き続き、現代演出。
シェークスピア作品では一番観ているし、
話の展開も分かっているので、
次はコレ、次はコレ、という感覚で観れる。

そのため、休憩込みで4時間でも、それほど飽きずに観れる作品に。
このNTライブシリーズで、途中、眠気がこなかったのは初かも。

特に、この人という役者はいなかったが、
ボローニアス役者が気になる存在。
役者よりかは作品で魅せる芝居なのかな、と。


現代演出で観るのは、サイモン・フィリップス版以来、二度目。
ただ、サイモン版は大変にスタイリッシュな演出で、
現代的な服装、装置、セットなのに違和感があったが、
今回はかなり現代に馴染んだ服装やセット。
それでも、二幕を原作通りやられると、ちょっと時代錯誤感有り。


で、今回、気になったのが、オフィーリアの死因。
ガートルードが普通に自殺したと話すが、
最後にオフィーリアが退場する際、何者かに押し込まれていく。
単に精神病を煩い、それを病院のスタッフが、
取り押さえているという認識でも問題ないが、
何かウラが有りそうな退場の仕方。

ガートルードが報告する際も、オズリックがその場にいたり、
(今回、レアティーズとの決闘を告げる伝令としてだけでなく、
王の側近として早くから登場)一瞬、カメラワークの焦点が合わない(誰も映さない状態)で、ガートルードの独白が続いたり。
その際、クローディアスの後ろが写ることから、
もしかしたら、ガートルードの報告をクローディアスを
聞く構図を差し込もうとした可能性もあり。

と、ちょっと、意味深だったオフィーリアの死因。