ネタバレあり。


(パンフ続き)息子・魚名の子を身ごもった事を知り、息子と見抜く事の出来なかった後悔から、双方、両目を潰し、別れる二人。魚名は海の上(文字通り岩の上)で暮らすが、その魚名に関する予知夢を見た白河帝の命で、新しく建立する寺の住職に。その住職がどんな病を治すということで、有名になり、病人を伴った日の浦が現れる。その寺で再会し、祈願し、二人とも目が見えて去る。
その後、説教聖の後口上で、実はこの二人が兄妹で、自分の行為を日の浦姫の物語にして、説法していた。そして、聞くものにも、ある懺悔の効用があると告げ、去り幕。


大竹@日の浦姫
15歳から老婆まで。少女声には、無理のないキンキン声だが、思い切ったなぁ、演出家。実は、庄の長として、男装の麗人、男性言葉が一番好み。

藤原@稲若、魚名
相変わらずの潰れた声だが、出番が少ない、張り上げるシーンが少ないという点から、大分、聞き取り易い。
でも、絶海の孤島シーンでの、ギャグは、かなり頑張っている(イメージ違いという意味で)。

辻@成親
烏帽子姿が拝めたら、まさかの冒頭出演のみ。その他、大勢にも、最後まで出演せず。え~、としか言えない。
でも、最後のスーツ姿、台詞中に鞄を持ち替えたり、と小芝居あり。基本、群読でも、目立つ発声と独特の(ズレた)テンポ。ある意味、悪目立ちに属するけど、キニシナイ。

たかお@宗親
むしろ、辻氏にこっちを演らせたかった。でも、微妙におせっかいなオジさん(真剣味の薄い)とか、ボケ老人が、ハマる。

立石@三味線弾き、他
実は初か?かなり特長的な声で、最初、三味線弾きで登場した時は、何、このアニメ声、若手?と思ったら、立石さん。侍女のすっとぼけ振りがなかなか。白石さんのようなドスの利いた低音語りとは異なる、心地よさ。
白河帝の妹役での微妙な関西訛りがツボ。途中からその話し方は放棄してたけど。

木場@説教聖、他
上手ガン見席で、リピートしたいくらい出ずっぱり。その舞台占有率にビックリ。
歌声は小唄のようなふざけた歌詞のみだけど、基本、狂言廻し。で、舞台上にある竹筒に見立てた水筒で、チョイチョイ水を飲んだりするくらいに喋り倒す。
で、それほど顔芸はせず、セットとして溶け込んでいるが、日の浦の庄の長と女の顔で、女の顔を見せた時のアングリ(驚愕)度。それ以上に、嫁と母で揺れる時、藤原氏が驚愕で固まっているの対し、日の浦が二人の関係を説明する中、脇でコロコロと変化していく顔芸はもう。

魚名を拾う和尚で、登場。メタボで痛風持ちと、出落ちキャラ。

白河帝では、あのベン冠をあからさまに被り、あの木簡を扇にしたり。なお、口調は明らかに京言葉では無い。

で、最後にまた説教聖。まあ、ここは憎まれ役というか。


星@資永
一応、悪役だけど、出し抜けに良い声なのは、相変わらず。


冒頭から絵巻投影。そして、現代の岩手地図とか、ちょっと珍しい投影演出。
その後、屋敷セットで、木の実が一斉に落ちたり。

究極は小舟が流されていくシーンの何もないセット。青子が居て船を押しているのだが、それを差し引いてもダイナミック。

その分、あの魚名のギャグシーンがなんか違和感。
それまでも、それなりに笑いのシーンはあったのだが、井上脚本と蜷川演出が合わないのか?でも、井上脚本には珍しい近親相姦モノだし、やはり、蜷川か?でも、もっと生々しい栗山演出とか、無難に仕上げる鵜山演出とかで観たいかも。

脇に段のタイトルを表示する電工掲示板あり。それ自体は他のコクーンでの蜷川演出でも観たことがあるが、歌詞の表示だけでなく、魚の台詞を文字化して、ギャグ解説するのに、使うとは。ただ、魚名の台詞に追いつかないことも。これも、演出?